粉飾の予兆は「AIが見抜く」、“急成長”に潜む危険信号とは?

スタートアップの成長物語の裏側で、不正会計や誇張開示は繰り返し発生してきた。オルツの不正会計問題をはじめ、過去にはグレイステクノロジーやテラなども同様の末路をたどっている。背景には「高い評価額を維持するための粉飾」という共通の動機があるが、従来の監査や投資家の目だけでは早期発見が難しいのも現実だ。では、投資家はどう身を守ればよいのか。AIによる異常検知やファクトチェックの進化が、事後対応から「予兆段階での防止」へのリスク管理など、最近の潮流を解説する。不正パターンの3分類(出典:FINOLAB RESARCH)
2024年10月に東京証券取引所のグロース市場に上場したオルツが、わずか半年後に証券取引等監視委員会による調査を受け、大規模な会計不正が明らかになったのは、スタートアップの情報開示とIPOに影を落とす事案として大きく報じられた。

 会計監査のあり方や上場審査についての課題も指摘されているが、ここでは類似の不正事例をみることによって、投資家としての対応を考えてみたい。

 オルツも含め、最近の類似案件としては、以下のような事例を挙げることができる。
こうした不正行為はなぜ繰り返されるのであろうか? たとえばオルツの第三者委員会による調査においては、今回の事態が生じた背景として以下を上げている。

・売上げの拡大および上場を強く志向していたこと
・経営トップに求められる「誠実性」が欠如していたこと
・実効性のある内部統制・ガバナンスが構築されなかったこと
・会計監査人らに対する当社の説明・対応が不適切であったこと
・最先端の事業に対するバイアス等の可能性
・その他(監査法人の対応に関して)

 基本的に「高い評価額を維持して投資家を欺くこと」が目的であった点は他の事案でも共通しており、株式公開後に発覚したことが、上場廃止や経営破綻につながっている。ほとんどの場合に上場準備を開始する前から経理情報などの不正操作は始められており、以下の3つのパターンに集約される。

 特に、急成長を演出するために開示情報の不正操作に手を染めるようになる場合が多く、グロースステージのスタートアップに対する投資を行う際には、充分な注意が必要となる。

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