ラオス児童買春、少女たちはどこから集められたのか 「選択肢がない」農村の小屋に15歳、中国人の突撃訪問も

東南アジアの小国・ラオスを外国人が児童買春目的で訪れて問題化している。共同通信記者は昨年、首都ビエンチャンで少女を集めた複数の売春拠点を特定し、日本人男性客3人が「10歳」の少女を指名する様子を報道。反響を受けて今年は背景を探るため、中部の農村を取材した。コンビニもスーパーもない村で夜、記者が見たものとは…(共同通信バンコク支局=伊藤元輝)【写真】「日本人客は『ごめんね』と言いながら変態のような行動を要求する」韓国の性売買当事者が明かした実体験
▽手作業で田植え、のどかな農村

 広がる田んぼと連なる山々。ラオス中部ビエンチャン県の農村は日本の田園風景にも似てのどかだった。ちょうど田植えの時期で、農家の人たちが泥まみれになりながら手作業で水田に稲を植えていた。市場では女性たちがタケノコや野菜、きのこに食用ネズミなどを並べている。昔ながらの暮らしぶりに、タイムスリップしたような感覚を覚える。

 ラオスは社会主義一党独裁体制でリスクもあることから、村のある女性に事前に協力を頼み、通訳と案内役を担ってもらった。女性はこの村に多く住む少数民族のクムー。クム族やカム族と呼ばれることもあり、独自の言語を話す。人口約776万人のラオスには50の少数民族がおり、主流はラオ民族、クムーは全体の1割ほどを占める。

▽「12歳で処女を売った」 

 夜になると街灯のない村は真っ暗になった。村を貫くように国道が通っていて、車のヘッドライトだけを頼りに、ある場所に向かった。国道といっても車がぎりぎりすれ違うぐらいの道幅だ。コンクリートはところどころ陥没していて車体は激しく揺れた。
たどりついた先には数軒の小屋が並んでおり、電灯の光が暗闇に漏れていた。この小屋が売春拠点なのだという。店の前に中年女性が立っており、手招きされて中に入った。約10人の少女たちが座っている。スマートフォンを見ながら、ちらちらとこちらの様子を確認してくる。中年女性は「みんな15歳ぐらいだ」と言う。あどけない表情や小さな体格から矛盾はなかった。客の中国人男性が1人、椅子に座って少女を選んでいた。

 女性協力者の仲介で、働いていた少女に話を聴いた。身長140センチぐらいの15歳で、ラオス北部出身。

 「12歳の時に地元で中国人男性に処女を売った。姉も同じことをしたから、抵抗はなかった」。クムーの言語で淡々と話す。

 客の相手をした際の1回あたりの収入はいくらなのか尋ねると「分からない」と首をかしげた。まとまった現金をたまに売春拠点の運営者から受け取るという。

 もう1人、別の少女にも話を聞いたが「15歳だ」と自己紹介した以外、多くを語らなかった。

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