殉職海兵を巡る捜査妨害などの真相究明を目指す特別検察官(以下特検)が7月2日に発足して2カ月以上経過したが、これといった捜査実績を上げられずにいる。今回の特検は殉職海兵を巡る捜査への「外圧」疑惑に関連し、数十回の捜索を行ったが、まだ誰も起訴されていない。プロテスタント系の人物などが殉職したチェ・スグン上等兵の所属部隊長の処分回避を働きかける窓口だったとする疑惑も捜査したが、論議を呼んだだけで特に進展がない状況だ。殉職海兵を巡る特検はそれでも内乱、金建希氏を含むの3件の特検の中で真っ先に捜査期間を延長した。【写真】濁流に飲まれた一等兵の捜索を見守る海兵隊員
外圧疑惑は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が2023年7月、上等兵の所属部隊長だったイム・ソングン元海兵隊第1師団長らに過失致死容疑を適用した海兵隊捜査団の調査結果報告に怒り、大統領室と軍指揮部を通じ、捜査に外圧を加えたとされるものだ。それに関連し、特検は7月22日、金桂煥(キム・ゲファン)元海兵隊司令官の逮捕状を請求したが、裁判所に棄却され、2カ月近く経った最近になって再び金元司令官に出頭を求め、捜査を継続している。疑惑の核心にいる李鍾燮(イ・ジョンソプ)元国防部長官は今月23日、初めて容疑者として取り調べを受ける予定だ。内乱事件の特検に逮捕された尹前大統領が殉職海兵を巡る特検の聴取に応じるかどうかは不透明だ。同特検がこれまで逮捕した人物もいない。
海兵隊捜査団から始まり、国防部調査本部、慶北警察庁、大邱地検などを経て、特検に送致された上等兵過失致死事件に関連しては、まだ一人も起訴されていない。上等兵が水害現場で行方不明者の捜索中に急流に流され死亡に至ったことを巡り、指揮責任がどこまで及ぶのかを究明する捜査は2年以上も結論を出せずにいる。
特検は金章煥(キム・ジャンファン)極東放送理事長とイ・ヨンフン汝矣島純福音教会担任牧師らが元師団長を過失致死事件の容疑者から除外するための働きかけに関連したとして、7月18日に関係先を捜索をした。しかし、2カ月以上たっても参考人としての両氏の聴取は行われていない。参考人としての聴取要請に3回応じなかった両氏は「働きかけをした事実はなく、特定メディアに通信記録が公開されるなどの名誉毀損に対する特検側の謝罪が先だ」という立場だ。イ牧師側とは出頭日程の調整もまともに行われていないという。検事長出身の弁護士は「真相究明とそれに伴う処罰という特検本来の趣旨に立ち返り、体制を整える必要があるように思う」と話した。
イ・セヨン記者