郡山駅前10代たむろ 「トー横」「グリ下」化懸念 SNS通じ福島県内各地から

学校や家庭に居づらくなった10代らが、福島県郡山市のJR郡山駅前や周辺の緑地公園などでたむろする姿が頻繁に目撃されている。東京都新宿・歌舞伎町の通称「トー横」や大阪・ミナミの「グリ下」といった一角と同じように、若者がトラブルに巻き込まれかねないと危惧する声が上がる。有識者は中高生らが犯罪の被害者や加害者になる前に「安全安心な居場所」を大人がつくるべきだと警鐘を鳴らす。

 経済県都に夜のとばりがおりた午後8時ごろ、駅前の繁華街は雑居ビルや飲食店などのまばゆい光で華やぐ。

 中高生だろうか、駅前の広場でたばこをくわえる男女の姿があった。近くの飲食店で働く男性に尋ねると、「あいつらは『駅ッズ(エキッズ)』と呼ばれている」と教えてくれた。「向こうにいるのもそうだよ」。指をさされた方向には、若い男性3人が歩いていた。髪を染め大人びた格好をしているが、顔つきが幼い。アーケードで他の男性数人と合流し、暗がりに消えていった。
駅ッズと呼ばれる10代の若者への接触を何度か試みたがけむに巻かれた。だが、その一員と交友関係にある少年(16)が取材に応じた。

 少年によると、交流サイト(SNS)などでつながった少なくとも20人以上が県内各地から郡山駅前周辺に集まってくる。「知り合いの知り合い」などを含め、その日によって遊ぶ顔触れが入れ替わり、グループの全体像は把握できない。昼過ぎから夜にかけて、4人以上で行動することが多い。「郡山界[かい]隈[わい]」と呼ぶ人もいる。学校になじめていない人や家出している人が多く、単純に会話を楽しんだり、未成年なのに「その場のノリ」で飲酒や喫煙をしたりしているケースがあるという。

 こうした未成年を犯罪に取り込もうとしている大人の存在が垣間見える。少年は「友達が『仕事あるよ』と危なそうな案件に誘われたり、違法な薬物を勧められたりしていた」と証言する。「そういう大人は早く捕まってほしい。巻き込まれたくないよ」。今は駅前周辺に寄りつかず、距離を置いている。

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