「一人ひとりの理解や寄り添いがより大事に」…神戸高2刺殺事件の被害者の父親が鳥取市で講演、事件後も変わらず続く苦しみを訴え

2010年10月に神戸市北区の路上で刺殺された私立高2年の堤将太さん(当時16歳)の父、敏さん(67)が30日、鳥取市のとりぎん文化会館で講演した。被害者遺族の苦しみを語り、支援の大切さを呼びかけた。(岡崎凌久)【写真】男にナイフで刺されて亡くなった堤将太さん
講演はとっとり被害者支援センターの主催。将太さんは10年10月4日夜、自宅近くの路上で、当時17歳の男にナイフで首などを刺されて死亡した。男は逃走し、事件から11年後の21年8月、殺人容疑で逮捕された。神戸地裁は男に23年6月、懲役18年の判決を言い渡し、25年10月に刑が確定した。
敏さんは当時、「事件直後現場に駆けつけた際に、何かできたのではないか。助けてやれなかった」と自分を責め続けた。半年で体重が15キロ近く落ち、「普通に過ごすことがこんなにも難しい」と実感したという。「時間が癒やしてくれるというが、実際は時間は解決してくれない。失われたものの大きさを突きつけられる」と声を震わせた。
事件当時に比べて被害者支援は進んでいる。しかし、「自分とは関係ない遠い話だと考えがちだ」と犯罪被害者への理解は道半ばだとする。「自分は支援団体や警察などから多くの励ましをもらい、今がある」と振り返り、「一人一人の理解や寄り添いがより大事になる」と強調した。
4人きょうだいの末っ子だった将太さんを失い5人になった家族は、今、孫らが増え14人になった。皆で集まる際には、そこに将太さんがいて、「15人」で食卓を囲んでいると思う。「将太への思いは時間がたっても変わらない」と言う。「事件が起こった後、被害者や遺族がどんな思いをするのか、その苦しみを知ってもらいたい」と訴えた。
県警察学校の研修で訪れた諸道竜馬巡査(23)は「時間とともに徐々に日常が取り戻されると想像していた。遺族の方の話を直接聞き、被害は一生終わらないのだと実感した」と話していた。

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