共同研究で便宜を図る見返りに、繰り返し風俗店などでの接待を受けたとして、東京大学大学院医学系研究科元教授が逮捕された事件。女性セブンの名物ライター”オバ記者”こと野原広子さんは、この一件について何を思ったのか。オバ記者が綴る。【写真を見る】熱海で接待を受ける佐藤容疑者。女性に囲まれ楽しそうにする様子も
「東大大学院教授、高級クラブや性風俗店での接待を要求して、収賄容疑で逮捕」のニュースには考えさせられた。
農業高校卒でマスコミ専門学校中退の私ごときには出る幕がない? いやいや、何を隠そう、実は私、東大にはガッツリ入っているの。学生として、ではなくて入院患者として。3年半前に「境界悪性卵巣腫瘍」という病名で、子宮と卵巣の全摘手術をして12日間入院した病院が、東京大学医学部附属病院だったの。
ここを選んだのは、急激にお腹が膨らんで悪性腫瘍の可能性が大きくなったときに、大学名はデカい方が安心と思ったから。しかも医療費はほかと変わらないし、いい場所に原チャの駐輪場がある。結局、検査に次ぐ検査で手術台に乗るまでに3か月通った。
幸い、手術後、「悪性ではない。リンパも取らなくてよし」という診断。以降半年ごとの検診で、いまのところ異常なし。担当医はじめ看護師さんたちには、どれほど頭を下げても足りないほど親切にされた。
でも、気になることもあったのよ。
手術から数日経って体が落ち着いてきた頃、年配の看護師さんに東大病院の感想を話したの。「さすが加賀百万石の上屋敷跡地。敷地の広さと緑の多さは日本一、いや世界一じゃない?」と。そうしたら、「外見はね」と口を濁すから、「何何何?」とベッドから身を乗り出した私。
「国立大学病院は国から予算がついて成り立っているのはわかるでしょ。それが数年前から、え〜っ、え〜っ、え〜っと目をこするほど削られているのよ」と言うんだわ。そして、「研究費は減らされ、最新の医療機器も以前ほど入らない。この病院、ヤバいかもよ」と声をひそめたの。「医は算術」という言葉がチラッと横切った。
それから2年経ったある日、仕事仲間のY子に手術したことを話したら、「いくら包んだの?」と言うんだわ。「手術する前には執刀医と麻酔科医と担当医にお金を包むでしょ」と。思いもよらないことだったから、「いまの医師はお金なんか受け取らないよ」と反論したら、Y子はプルプルと頭を振る。「何言ってるのよ。私は半年前に父親が手術をしたとき、10、10、5、包んだよ」って。
「あのね、包むったって、封筒に入れて手渡ししたりするんじゃないの。封筒をチラッと見せたら、そこはあうんの呼吸。医師は半身を回転させて、私の真ん前に白衣のポケットが来たからそこにスッと」とY子。彼女の父親が手術したのは東大病院ではないけれど、名のある国立大学病院だ。Y子は続けた。「お金を包んだからといって執刀医が手心を加えることはないと思うけど、でもそこは人と人だから、こちらもできることはしたいじゃない?」と。
私の場合、高額療養費制度を利用しているから、「ポケットマネー」なんかしたくてもできない。てか、したら変でしょ。だけど私は不作法だったのか、ずっと気がかりで、手術経験者に聞いて回った。するとどうやら、医師にはポケットを差し出す派と、固くお断りする派があるみたいね。でも目の前の医師がどっち派かは、包んだものを差し出すまではわからない。