夫を含む51人の男性から性暴力を受けたフランス人女性ジゼル・ペリコさん(73)は、実名で公開裁判に臨み「恥じるべきは加害者であり被害者ではない」と訴え続け、フランス国内のみならず世界中の女性から大きな支持を獲得した。【写真】被害にあった娘のキャロラインさん、10年間暴行を続けたドミニク受刑者の姿など
性暴力被害者支援に長年取り組んできた英国・カミラ王妃は、その勇気に敬意と連帯の思いを私的な手紙を通して伝えたという。手紙は判決後に送られたとされ、ジゼルさんが直近で出版した回想録にあわせて、再びその内容が関心を集めている。
ジゼルさんの身に起きた出来事は、背筋が凍るような事件だった。10年近くにわたって元夫に睡眠薬を盛られ、意識を失っている間に、元夫がネットで知り合った複数の男たちから性的暴行を受けていた。さらにその様子を元夫は撮影し続けていたのだ。結婚50年、3人の子どもと6人の孫を持つ「ごく普通の夫婦」と見られていたが、2011年から2020年にかけて、元夫はそんな行為を続けていた。
報道によれば、元夫のドミニク・ペリコ受刑者(73)はフランス国内で長年にわたり犯罪利用されてきた匿名チャットサイト「Coco」(現在は閉鎖)を利用して、「薬で眠らせた妻と関係を持ってほしい」「自分が許可する」と男性たちへ持ちかけていたとされる。南仏マザンの自宅から半径約40キロ圏内に住む26歳から73歳の男たちに接触し、その多くが「夫の同意があるなら問題ない」と受け止め、加害に加わった。彼らは消防士や看護師、ジャーナリスト、刑務所職員などさまざまで、妻子や家庭を持つ者が多かった。
事件が明るみに出たのは、元夫がスーパーマーケットで女性の下着を盗撮していたところを現行犯逮捕され、パソコンが押収されたことがきっかけだった。海外ジャーナリストが続ける。
「押収データには数百点に及ぶ動画や写真が保存され、『彼女の知らないうちに』『彼女は知らない』といったタイトルが付けられていました。
公開裁判では、映像の一部が証拠として再生されています。ベッドに横たわり目を閉じ、反応も抵抗も示さないジゼルさんに男が性行為をする光景で、検察が『彼女は薬物で眠らされ、意識のない状態だった』と説明したそうです。ジゼルさんは、映像を制限なく公開するよう求めていましたが、あまりにも衝撃的な内容のため、裁判所は上映回数や公開範囲を制限したほどです。
ドミニク氏のデータの中には、自宅の浴室で盗撮した息子の妻二人や、成人した娘が半裸で眠っている姿もあり、自分のものではない下着を身につけていたことから『自分も薬を盛られていたのではないか』と娘は語っています。
ドミニク氏は薬物を使って意識を奪う手口をほかの男たちに提案し、それを実行した”弟子”の妻にも暴行を加えています。ドミニク氏は2024年12月に最高刑である禁錮20年の判決を言い渡され、ほか50名も全員が有罪判決を受けました」
ジゼルは、法廷での最終陳述で「レイプを軽視するマッチョで家父長的な社会が変わるべき時が来た」と述べた。匿名ではなく実名で顔を出して法廷に立ったのは、被害者が暴行を受けたことを恥ずかしいと感じるのではなく、加害者が恥を感じる社会であってほしいからだと語り、世界中の女性から大きな支持を獲得。”時代の象徴”と報じられている。