警察官などを名乗る海外からの電話で詐欺被害に遭うケースが増えている。ベトナムを拠点にした特殊詐欺グループの「かけ子」役で、詐欺罪などで実刑判決を受けた元ホストの男(31)が、大阪拘置所で読売新聞記者の面会取材に応じ、犯行の詳しい状況を語った。「被害者と直接対面するわけではないので、(罪悪感を抱くことなく)何も考えずに電話をした」と打ち明けた。犯行に加わったきっかけは、「軽いノリだった」という。(上田裕子)
今月2日付の判決によると、男は2024年1月、氏名不詳者らと共謀。警察官などになりすまして被害者の口座情報を聞き出し、約2800万円を他の口座に送金して、だまし取るなどした。地裁は懲役4年6月(求刑・懲役8年)の実刑判決を言い渡し、確定した。
記者は4月以降、3回にわたり大阪拘置所で面会。男は現地での犯行の状況を淡々とした様子で語った。
きっかけは軽い気持ちだった。友人の先輩から「海外で稼げる仕事がある」と誘われ、22年12月、ベトナム・ハノイに渡航。指定されたマンションの部屋に入ると、そこは特殊詐欺の拠点で、すでに知らない日本人男性1人がいた。
詳しい全体像は不明だが、他の拠点も含めたこのグループの人数は10人程度で、「かけ子」の中でも役割によって呼び名や報酬割合が異なっていた。「1線」と呼ばれるNTT職員役は詐取金額の4%を得られ、「2線」の警察官役は9%、「3線」の検察官役は5%だった。男は主に「1線」を担当した。
部屋で待機していると被害者との電話がスマホに転送されてきた。渡されたマニュアル通りに「あなたのカードが不正に使われています」「後は警察官に聞いて」と伝え、警察官役の2線に転送をかける。「体感として5割の人は話を信じた。こんな簡単な説明でだまされるのかと感じた」と振り返る。
男は公判で「(起訴事実については)被害者をだます実行行為をしておらず、共謀は成立しない」と無罪を主張したが、地裁は「被告らかけ子は犯行手口の全貌(ぜんぼう)を把握し、中心的役割を担っている」とし、共謀を認めた。