特集「キャッチ」です。20年前の1月、山口県のJR下関駅の駅舎が放火によって全焼する事件がありました。放火の罪で服役した男性は、現在94歳。出所後、北九州市で暮らしています。刑務所に戻りたいと放火を繰り返してきた過去。そんな男性を変えたのは、温かく迎え入れてくれた人たちの存在でした。
■福田九右衛門さん(94)
Q.ここでの生活は楽しいですか?
「はい。」
Q.何が一番楽しいですか?
「みんなと仲良くすること。」
北九州市八幡東区の福祉施設で暮らす、福田九右衛門さん(94)です。
歩行器には、たくさんのぬいぐるみ。福田さんの宝物です。
■施設職員
「いっぱいになったね、ぬいぐるみ。みんながくれる?」
■福田さん
「うん。」
福田さんは10年前、服役していた福岡刑務所を出所し、北九州市内で暮らし始めました。
20年前の2006年1月、北九州市に隣接する山口県下関市のJR下関駅は、炎に包まれました。
段ボールに火をつけ、駅舎を焼失させたとして逮捕・起訴されたのが福田さんでした。事件の8日前に刑務所を出たばかりでした。
■福田さん
「あの時は行く所がなかったからね。風が強かった。」
福田さんは事件の直前、北九州市小倉北区の福祉事務所を訪ね、生活保護の相談をしていました。しかし、当時は定まった住所がないことを理由に、申請書を渡されることすらありませんでした。
ふるさとの京都に帰りたいと申し出た福田さんに福祉事務所から渡されたのは、隣の下関市までの交通費だけでした。
こうしてたどり着いた下関市で、福田さんは放火に及んだのです。
当時の裁判では。
『行き場所がなく、刑務所に戻りたかった。』
現住建造物等放火の罪で懲役10年の判決を受けた福田さん。下関駅の事件を含めると前科11犯、50年以上を刑務所で過ごしてきました。
軽度の知的障害がありますが、親や兄弟とは縁が切れていたほか、福祉につながることもなく、刑務所にしか居場所がないと感じていました。