“シャブ玉”5万錠に“アヘン”10キロ…「イラン人グループ」が違法薬物を“大量密造”の衝撃 「上野公園で変造テレカを売っていたイラン人とは比べ物にならない」

昨年11月、久し振りにイラン人による大型薬物密売組織が摘発された。神奈川を捜査本部とする静岡、愛知の3県警による合同捜査の成果だ。“見事に実態を明らかにした”と元捜査官の筆者はこの件を高く評価している。一方で、イラン人薬物密売組織が20年以上の時を越え、薬物事件の最前線に返り咲いたことに改めて驚かされた。それも小者(こしゃ)な小売りグループではなく、少数精鋭で密輸・密造・卸業に精通したプロ集団に生まれ変わったとの印象を受ける。【瀬戸晴海/元厚生労働省麻薬取締部部長】【写真】誰もが知るハイブランドのロゴに、人気ゲームのキャラクターが描かれて…ラムネやキャンディにしか見えないが、実際は違法薬物の錠剤
各メディアがこの事件を大きく報じたのは、昨年11月14日のことだ。

 静岡県富士市の拠点で覚醒剤を販売目的で所持していたとして、イラン人の男ら3人が逮捕された。容疑者は人通りがほとんどない田園地帯に位置する、高い塀で囲われた“ヤード”を拠点として、薬物の密輸・製造・密売に手を染めていたとみられる。ヤードとは建築資材や残土、中古車などを保管するいわゆる“資材置き場”を指す。

 一連の捜索でヤードをはじめとする関係先から押収されたのは、「スパイダーマン」や「マリオブラザーズのワリオ」などアメコミやゲームのキャラクターが型取りされたシャブ玉(覚醒剤錠剤)約5万錠。覚醒剤約40キロにアヘン約10キロ、大麻リキッド約200本と原料溶液、さらに、コカイン数キロなど多種、大量の薬物だった。錠剤に描かれた有名キャラクターは薬物使用への抵抗感を薄める狙いがあったとみられている――。

 事件を取り上げたテレビ朝日の「報道ステーション」は、ヤードの前から中継するとともに、新宿の歓楽街でキャラクターが描かれた錠剤について若者たちにインタビューしていた。その内容は興味深く、10代の女性達が「私の周りの子は錠剤が多い」「MDMAにシャブの成分がめっちゃ入っている錠剤があって、MDMAを買ってきたらシャブ玉だった」と答えていたのが印象的だった。

 かつて薬物で“錠剤”と言えば純粋なMDMAだった。ところが近年、MDMAの純品は“モリー”というスラングで呼ばれる一方、覚醒剤やけケタミンが混ぜられものもMDMAとして出回るようになった。また、“シャブ玉”や“S玉”と称して覚醒剤の錠剤も密売されている。

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