東京都世田谷区で今月1日、韓国籍の衣料品販売業バン・ジウォンさん(当時40歳)が刃物で切られて殺害された事件で、警視庁は22日、殺人容疑で逮捕した交際相手で韓国籍のパク・ヨンジュン容疑者(30)をストーカー規制法違反と邸宅侵入の両容疑で再逮捕した。
発表によると、パク容疑者は8月29~30日、バンさんの港区の自宅マンションの共用部に7回侵入したほか、事件当日にバンさんが仕事で訪れていた現場周辺を約5時間うろついた疑い。
さらに8月29日以降、バンさんに無料通信アプリで「つらい」「感謝している」などと8件のメッセージを送信したほか、電話を2回かけた疑いもある。調べに対し、「メッセージの送信と電話はしたが、それ以外については黙秘します」と供述しているという。
パク容疑者は8月23日に韓国から来日し、バンさん宅に滞在していた。同29日未明、別れ話でトラブルとなり、警視庁三田署に「連絡も接近もしない」とする上申書を提出した。
しかし、29日午後5時頃から30日午前7時頃までの間、7回にわたってバンさんのマンション内に侵入。エレベーターに乗る様子が防犯カメラに映っていた。同庁は、バンさんと接触しようとしたとみている。
事件は1日午後1時半頃に発生。パク容疑者は世田谷区の現場から羽田空港に逃走したが、警察官に国際線の出発ロビーで発見され、2日に逮捕された。
◇
パク容疑者は、バンさんのマンションの住人が開錠したオートロックをすり抜ける手口で、侵入を繰り返していたという。「共連(ともづ)れ」と呼ばれるこの手口は、8月に神戸市のマンションのエレベーター内で住人の女性(当時24歳)が刺殺された事件でも使われた。
住民としてできる対策はないか。防犯やストーカー対策に詳しい拓殖大の守山正名誉教授(犯罪学)は、〈1〉エントランスに入る時は周囲を見渡す〈2〉見知らぬ人がいれば先に鍵を開けてもらう〈3〉マンション内ですれ違う人とは目を合わせ、声を出してあいさつする――ことを勧める。「すり抜けを許せばマンションの安全が脅かされる。住民全体で防犯意識を高める必要がある」と指摘する。