風俗店で働くも返済追いつかず「臓器売れ…」悪質ホストクラブ”売掛金”の罠

利用料金を立て替えて後日支払わせる“売掛金”。悪質なホストクラブの実態を被害女性が語りました。

「あすまでに5万払わんかったら『俺出るとこ出るぞ』『臓器売れ』とかが、一番怖かった」

 熊本県在住の10代の女子大学生。1年前、友人に連れられて、初めてホストクラブに足を踏み入れました。次第に、特定のホストを応援したいと思うようになり、週に4日通うほどにのめり込みました。

 1日1万円ほどだった利用料金は徐々に上がり、10万円を超えることもあったといいます。

「最初のシャンパンは払えていたけど、途中から売掛金ができて…」

 利用料金を立て替え、後日、支払わせる売掛金。通い出して3カ月ほどで、総額70万円を超えるまでにふくれ上がりました。

「売掛金を返すために店に行ったのに、ホストにも伝えているのに、結局は『いいじゃん飲もうよ』となって…断れず、どんどん取返しがつかない状況になった」

 しかし、売掛金の返済が滞ると、ホストの態度は急変。毎日のように、取り立ての連絡が来るようになりました。ホストから促され、風俗店で働き始めましたが、返済は追いつきませんでした。

「ご飯代とかも全部ホストに渡していたので。精神的に病みすぎて歩けない状態になった」

 女性は精神科に通うことになり、大学は休学することに決めました。
悪質なホストクラブによる被害は大きな社会問題となり、今年6月「改正風営法」が施行されました。

 違反すれば、営業停止など行政処分の対象となる遵守事項には、客の恋愛感情につけ込んだ飲食の要求、注文していない飲食の提供などが含まれます。また、刑事罰の対象となる禁止事項には、利用料金や売掛金を支払わせるために脅したり、売春や風俗店で働くよう要求したりする行為が新たに加わりました。
また、改正風営法で禁止されたのが、風俗店が女性従業員の紹介を受けた対価として、スカウトに対して紹介料を支払ういわゆる「スカウトバック」です。

 熊本県では、全国初の逮捕事例となった事件を含め、4人が逮捕されています。

 熊本県警組織犯罪対策課の藤内智実次席は「ホストクラブの方が、客を風俗店で働かせてスカウトバックを得るというケースもある」と指摘します。

 なかには、スカウトだけでなく、女性客を性風俗店などにあっせんしたホストが対価を受け取っているケースもあるということです。

 暴力団や匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」が関与する組織的な犯罪とみて、警察は全容解明に取り組んでいます。

 ただ、最近では、ホストが女性客を直接、風俗店に紹介するのではなく、女性客が自ら風俗店を探し、働くように誘導するなど手口は巧妙化。捜査には難しさもあるといいます。

 藤内次席は“売掛金”というワードが出たら、注意してほしいと呼びかけます。

「今、お金を持っていなくても後払いでいいよ、ととなれば、結局は、それがたまって、後で返せないような借金が残ってしまうので、売掛金がキーポイント。困った時は、いち早く警察に相談してほしい」

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