大麻由来の合法成分「カンナビジオール(CBD)」を悪用して違法な麻薬を製造したとして、京都府警が無職の男2人を麻薬取締法違反(営利目的製造)容疑で逮捕していたことが捜査関係者への取材でわかった。合法成分を使った麻薬製造事件の摘発は異例という。【図表】合法→違法…事件の構図
捜査関係者によると、逮捕されたのは、東京都東久留米市の東薫亨(まさゆき)(25)、宮崎県高鍋町の井上堅士郎(40)両容疑者。2人は共謀し、今春に宮崎県内の集合住宅の一室で、大麻由来の違法成分「テトラヒドロカンナビノール(THC)」を含む液体を営利目的で製造した疑い。原料はCBDを含む合法の製品だったという。逮捕は9月。
THCは幻覚や記憶、学習能力の低下といった健康被害を引き起こすとされる。昨年12月の麻薬取締法と大麻取締法の改正法の施行で量規制が定められ、残留限度値を超えるTHCを含むサプリメントなどは「麻薬」として規制対象となった。
一方、CBDは有害ではないため規制の対象外で、国内でも睡眠改善やストレス解消の効果をうたうサプリなどが販売されている。厚生労働省によると、化学反応を起こせば、THCへの変換が可能との研究結果があるという。
府警は、昨年7月にタイから大麻草377グラム(末端価格約188万円)を密輸したとして、2人を大麻取締法違反容疑で今年6月に逮捕。関係先を捜索したところ、THCの液体と製造に使ったとみられる器具が見つかった。
府警は、東容疑者が通信アプリを通じて井上容疑者に製造を指示していたとみている。原料となった製品の入手ルートについても調べる。
CBDを巡っては、この事件とは別に、違法薬物密輸事件の関係先として警察の捜索を受け、サントリーホールディングスの会長職などを9月に辞任した新浪剛史氏が合法のサプリを購入したと説明していた。
CBDを含む大麻由来成分の医薬品は、昨年12月の改正法施行で安全性と有効性が認められれば活用可能になった。ただ、CBDについてはTHCに変換されることへの懸念が指摘されていた。