「戦争ほどバカらしいものはない」いとこが戦死の田原総一朗、靖国参拝への持論と国旗損壊罪への危惧

御年92歳、“国寿”を迎えた今なおジャーナリストとして活動するリビングレジェンド・田原総一朗氏。双葉社THE CHANGE・3度目の出演となる今回は、高市政権や次世代への提言、来年に放送40周年を迎える『朝まで生テレビ!』(BS朝日)への思い、前回出演時からのCHANGE、昨今の体調、さらには90代でも現役の“色恋”など、今しか語れない本音に迫った。【第3回/全3回】■【画像】当時小学5年生、まだ軍国少年の面影が残る終戦した頃の田原総一朗8月を迎え、今年もまた先の戦争に思いを馳せる季節がやってきた。1934年生まれの田原氏は終戦時、小学5年生。92年間での“人生最大の出来事”を聞いても、即座に「敗戦」だと返ってきた。

 原体験として至るところで語っているが、田原氏がジャーナリストを志したのも敗戦にある。それまで国のために死ぬことが当然だと思っていた田原少年は、玉音放送で涙すら流した。しかし、よりショッキングだったのは周囲の態度だった。

 敗戦後、「これは聖戦だ」と教えていた先生たちは、「あれは侵略戦争で日本が悪かった」と180度変わった。ここで「大人やメディアの言うことを簡単に信用してはいけない」と強く感じたことから、「何が本当のことなのか知りたい」とジャーナリズムに走っていく。

──一般論や既存の価値観に率直な疑問をぶつける田原さんの原点は、敗戦体験にあるんですね。

田原総一朗(以下同)「僕は、考えが違っても議論することが大事という立場。僕の従兄弟はフィリピンのルソン島で戦死した。だから、靖国神社には何度か行ったことがある。戦後80年の去年はすごい人で中に入れず、参拝はできなかったけどね」
──高市首相と討論したように、靖国には否定的なのかと思っていました。

「靖国自体はあってもいいし、その評価も自由にできた方がいいけど、政治家が参拝することはないと思っている。なぜ、わざわざアメリカやアジアとの関係が悪くなるようなことをするのか。A級戦犯合祀の問題があるし、合祀以来、歴代天皇が参拝していないのに、政治家が参拝するのはどうなんだというのが僕の立場だ」

 国寿を迎え、戦後80年以上経ってなお、人生最大の「CHANGE」は敗戦なのだ。身をもって体験したからこそ、戦争について語る言葉には理屈を超えた力が宿る。

「戦争ほどバカらしいものはない。まず、自由がなくなる。人が死ぬ。楽しいことができなくなる。だから戦争には絶対に反対だ。誰しも楽しく生きたいはずだけど、人を殺すなんて楽しいはずがないし、戦争が起きると生活していて楽しいこともなくなる。
 僕は、国の方針っていうのは、曖昧な方がいいと思っている。シャープにするほど対立が深まり、反対勢力が先鋭化することも起こり得る。日本は自衛隊を軍隊にしていないけど、この曖昧さも、日本のひとつの知恵だ。今は自衛隊を軍隊にしようとする動きもあるけど、憲法で自衛隊を軍隊と認めたら、軍隊が特権階級になる。そうしたら、自由な発言もできなくなるかもしれない」

 自身の戦争体験から軍国主義に強く反対する田原氏。一方で、高市政権はタカ派色の強さが否めず、先月に閉会した国会では、高市首相自ら肝いりと掲げた国旗損壊罪法案が可決・成立。8月13日より施行された。同法は運用の曖昧さなどから今なお議論が絶えず、田原氏も問題点を指摘する。

「国旗をわざわざ破る必要はないが、それに罰則を設けて、破ったら逮捕されるというのはバカげている。1999年に制定された『国旗・国歌法』では、日の丸を国旗、君が代を国歌と定めたけれど、掲揚義務や罰則は設けなかった。これが“戦略的曖昧さ”だ。日の丸を国家の象徴にし、刑罰を設けて愛国心を強要すれば、いずれ戦争に結び付く可能性も否定できない」

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