41年前に熊本県で起きた殺人事件「松橋事件」で、犯人として服役した男性が、裁判のやり直しで無罪が確定しました。「違法な捜査があった」と男性が起こした裁判。二審の福岡高裁は27日、国の責任だけを認めた一審の判決を取り消し、国と熊本県の双方に賠償を命じました。つまり、検察だけでなく、当時の県警の捜査に違法性があったと認めた形です。
齊藤誠弁護士(2019年3月28日)
「無罪の判決が出ましたよ。とうとう。宮田さんは無罪です」
2019年3月、弁護士からこう伝えられ、感極まった表情を見せたのは宮田浩喜さん。
殺人事件の犯人とされました。その事件とは、1985年に現在の熊本県宇城市松橋町で男性が殺害された「松橋事件」。逮捕された宮田さんは裁判の途中から無罪を主張したものの、懲役13年の判決が確定しました。
服役を経て、2019年。裁判のやり直しである再審で無罪が言い渡されました。宮田さんが「燃やした」と供述したシャツの袖を地検が保管していたことが分かり、自白の信用性が崩れたのです。
熊本県と国に賠償を求めた宮田さんは87歳で亡くなり、遺族が裁判を引き継ぎました。去年3月。熊本地裁は、「無罪を示す証拠が出てきたのに、地検が有罪を求めたのは違法」と指摘。国に賠償を命じた一方で、県警については「取り調べに違法性はなかった」と訴えを退けました。
県警の取り調べも違法なものだったと訴える遺族の弁護団。果たして控訴審の行方は…。そして迎えた27日。
花木瞳記者
「勝訴の旗が掲げられました。福岡高裁は、国と県への賠償を命じました」
福岡高裁の岡田健裁判長は、「有罪判決は宮田さんの自白が実質的に唯一の証拠」だと指摘しました。県警の捜査について「逮捕前の取り調べは9日間で81時間と極めて長時間で、宮田さんが犯人との前提で自白させるために追及を続けた」と述べ、一審判決を取り消し違法と断罪しました。
また、地検がシャツの袖という証拠が存在することを説明する義務に違反したことについて、「意図的であれば犯罪的な行為で、過失だとしても甚だしい職務怠慢」として、「検察官の行動には失望を禁じえず、強く非難せざるを得ない」と糾弾。国と県に2380万円あまりの賠償を命じる判決を言い渡しました。