隣の空き家から木の枝が伸び、自宅の屋根や雨どいに当たっていると、不安を感じるものです。すでに屋根が破損している場合は、早く枝を切って被害を止めたいと思うでしょう。
ただし、他人の土地にある木を勝手に切ってよいのか、修理代を誰に請求できるのかは慎重に考える必要があります。そこで本記事では、隣の空き家の木で被害が出たときの対応先や、費用請求の考え方を解説します。▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
隣の空き家から木の枝が自宅側に伸びていても、まずは木の所有者に切ってもらうのが原則です。木は隣地の所有者の財産に当たるため、無断で切ると近隣トラブルになるおそれがあります。
ただし、2023年4月1日に民法が改正され、一定の場合は越境した枝を自分で切れるようになりました。例えば、所有者に枝を切るよう求めたのに相当な期間内に対応しない場合、所有者またはその所在を調べても分からない場合、台風前などで急いで対応しないと大きな被害が出そうなど急迫の事情がある場合です。
とはいえ、「空き家だから」「邪魔だから」という理由だけで、すぐ自由に切れるわけではありません。自分で切れる場合でも、対象となるのは基本的に自分の敷地へ越境している部分にかぎられます。必要以上に切ってしまうと、木を傷めたとしてあとから損害を求められる可能性もあるため注意が必要です。
トラブルを避けるためにも、枝を切る前や所有者へ連絡する前に、枝が屋根に当たっている様子や破損箇所を写真や動画で残しましょう。撮影日時が分かる記録があると、所有者や自治体に相談するときに状況を説明しやすくなります。
隣の空き家の持ち主が分からない場合は、まず不動産登記を確認することから始めましょう。土地や建物の登記事項証明書を取得すると、登記上の所有者を調べられます。登記事項証明書は、法務局の窓口やオンラインで取得できます。ただし、登記上の所有者がすでに亡くなっていたり、住所が古いままだったりすることもあります。
その場合は、相続人の調査が必要になることがあり、自分だけで解決するのは簡単ではありません。手続きに迷ったときは、司法書士や弁護士に相談するとよいでしょう。
また、空き家が管理されず、樹木の繁茂や倒壊の危険などで周囲に悪影響を与えている場合は、市区町村の空き家担当窓口にも相談できます。自治体が枝を直接切ってくれるとはかぎりませんが、状況によっては所有者に助言や指導を行うことがあります。
相談時は、「隣の空き家の木で屋根が破損した」「所有者が分からない」「枝が今も屋根に当たっている」と具体的に伝えましょう。その際、現場の写真や空き家の住所、被害が起きた時期、修理見積書などを用意しておくと、状況を説明しやすくなります。