放送禁止の闇…二度と見られない人気ドラマの永久欠番回(4)放送禁止用語を連発…タブーに切り込んだ伝説回は?

黎明期以来、数万本以上が制作されていると言われる日本のテレビドラマ。1年のうちに放送されるドラマは100本程度に上り、その大半が放送後に配信・ソフト化されている。しかし、中には、配信はおろかDVDにも収録されていない「幻のエピソード」も。今回は、大人の事情で世に出なかった「永久欠番」回について解説する。第4回。(文:編集部)
キャスト:岸田森、勝呂誉、原保美、小橋玲子、松山省二、小林昭二

 コンプライアンス意識が現在ほど高くなかった昭和時代には、社会的なタブーに真正面から切り込んだ作品も少なくなかった。1968年から69年にTBS系で放送された『怪奇大作戦』も、そんな番組の一つだろう。

 本作は、円谷プロ制作の特撮番組。私設組織「科学捜査研究所(S.R.I.)」と科学を悪用した「怪奇現象」との戦いを描いたドラマ。円谷プロが当時世間を席巻した怪奇・妖怪ブームに乗っかった作品として知られている。

 そんな本作だが、日曜19時というゴールデンタイムに放送されたにも関わらず、全体的に暗くヘビーな描写が多い作品として知られている。この傾向は、「永久欠番」となった「狂鬼人間」の回に最も顕著に現れている。

 ある夜のこと。操車場の構内で、白いネグリジェを着た女性が元恋人を刺殺する事件が発生する。その後、犯人は無事逮捕されたものの、重度の精神病患者と鑑定され、刑法第39条第1項(心神喪失者ノ行為ハ之ヲ罰セズ)の規定により不起訴で終わる。

 しかし、警視庁捜査一課長の町田大蔵(寺田農)とS.R.Iの面々は「殺人犯がなんらかの方法で一時的に精神異常にしていたのではないか」と訝しみ捜査を開始。「狂わせ屋」こと美川冴子(姫ゆり子)が「脳波変調機」により心神喪失の犯人を生み出していた事実に辿り着く。

 あらすじだけでもかなり際どいエピソードだが、放送当時は問題なく受け入れられたという。1964年に駐日アメリカ大使が統合失調症の入院歴のある人物に刺されて負傷するというライシャワー事件が発生しており、世間の風向きが精神病患者を隔離すべきだという方向に向かっていたからだ。

 このような社会情勢から、本エピソードが「永久欠番」になるのはかなり遅く、地上波での再放送は、16年後の1985年1月の岡山地区での放送が最後となり、LDボックスに至っては、放送から26年後の1995年にようやく発売当日の回収という形で欠番措置が取られたとされる。

 ただ、円谷プロ自体は、いまだに本作が欠番になった経緯はおろか、欠番に至った理由も明らかにしていない。そのため、ファンの間では、エピソードのテーマである心神喪失ではなく、放送禁止用語の連呼が欠番の問題になったという説もささやかれている。

 謎が謎を呼ぶ『狂鬼人間』。本エピソードが、コンプライアンスの壁を超え、再び世に出る日は来るのだろうか。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする