非行に走った少年らに働く場を提供し、更生を支援する活動がある。熊本市西区の建設業、濱﨑敏幸さん(42)は20代の頃から少年院の出院者らを受け入れ、生活面も含めて指導してきた。自身も少年院に入った経験があり、「人はいつからでもやり直せる」との信念を持って成長を見守る。
「(少年院から)出てきてすぐに仕事がなかったら、また悪い仲間とつるんでいたかもしれない。選択肢を与えてくれた社長(濱﨑さん)に出会ったのは、大きかった」
6月中旬、熊本市の居酒屋。富永祐太郎さん(32)=熊本市=が振り返ると濱﨑さんは「祐太郎は3年も続いて真面目だった。働いていたら、悪いことをする暇もないからね」とうれしそうに肯いた。
中学生の時に「ワイドショーにも取り上げられた」ほどの事件を起こして逮捕され、少年院に入った富永さん。保護観察所に登録する協力雇用主だった濱﨑さんに在院時に面談を受け、出院してすぐに濱﨑さんの下で働いた。最近はバーの経営を始めたが「いずれは昼の仕事をしたい」と将来を見据える。
非行少年らにとって、就労は社会復帰の重要な第一歩となる。熊本県内では2004年に「熊本少年友の会」が組織する「職親[しょくおや]の会」が活動を開始。23年には日本財団が助成する「職親[しょくしん]プロジェクト」の熊本支部が発足している。
少年友の会は、少年事件で付添人活動などに取り組む団体で、全国50の家庭裁判所に対応して50団体ある。熊本少年友の会は独自に職親の会を結成し、現在は土木・建築業など42社が登録する。
熊本少年友の会会長の青山定聖弁護士は「自己肯定感が低い少年が多い中、正当な報酬をもらい、一人前になれるかもしれないという自信が更生の可能性を広げる。就職先を確保しておくことは、更生に欠かせない」と強調する。
とはいえ、更生は簡単ではない。濱﨑さんはこれまで十数人を受け入れたが、長続きするのはごくわずか。精神的に不安定で連絡が取れなくなってすぐ事件を起こしたり、闇バイトで逮捕されたりした少年もいた。それでも「自分は踏み台でいい」と割り切っている。