ユーザーの反響が大きかった映画・海外ドラマ記事を再配信!(記事初出時の配信日:2025年4月12日)
ケヴィン・コスナーが殺人の衝動に駆られる役を演じる!
ヒーローを得意とする大スターが悪役を演じると、2つのパターンに分かれる。ひとつは、それまでの自身のイメージを投げ捨て、別人のような演技で完全なる“悪”を体現するパターン。そしてもうひとつが、作品内で善良なパートと、そこから豹変する冷酷な悪のパートを演じ分け、そのギャップで震え上がらせるパターン。ケヴィン・コスナーの本作は後者だ。主人公のアール・ブルックスは、実業家として成功の道を歩み、妻との生活もリッチで幸せそのもの。一方で殺人の衝動にかられる別人格を持っていた。この“二重生活”の設定は、スターが悪役を演じるうえで、演技力が試される好例だろう。
オレゴン州のポートランドで、若いカップルの死体が発見され、警察はかつての連続殺人犯が再び動き出したことを知る。その殺人現場が、向かい側のアパートから隠し撮りされていたことで、犯人の正体が明らかになっていくスリラー。社会的な地位もあり、殺人とはいえ仕事を完璧にこなす。殺人をやめたいと葛藤しつつ、無意識にサイコパス的な行動をとってしまうなど、二重人格ともいえる複雑なブルックス役はケヴィン・コスナーも演じ甲斐があったはず。クライマックスの衝撃的な展開に、彼が全編に静かに放ち続ける悪の香りが重なり、独特の後味を残す一作。
キアヌ・リーヴスが完全なる悪を体現!
『マトリックス』や『ジョン・ウィック』の大ヒットシリーズなど、基本的にヒーローを演じても、どこか“陰”や“闇”の部分も感じさせるキアヌ・リーヴス。そんな彼が悪役を演じたら、善悪の微妙なボーダーと、漂う悲哀に共感してしまうかも……などと考えてしまいそうだが、この予想をあっさりと裏切り、徹底して感情移入させない、完全なる悪を体現したのが『ザ・ウォッチャー』だ。
キアヌが演じたのは、連続殺人鬼のデヴィッド・アレン・グリフィン。その逮捕を試みるFBI捜査官のキャンベルを嘲笑うかのように、彼の不倫相手も殺しのターゲットにする。身も心もボロボロになったキャンベルを、さらに挑発するような凶悪な行動にも出るグリフィン。殺人鬼映画としても、犯罪手口は執拗で冷血。女性ばかりを狙い、その行動パターンをチェックした末に、自宅で待ち伏せして凶行に出る。これらすべてがキアヌのパブリックイメージと真逆であり、ギャップによって背筋が凍るというのも本作の特徴。殺人鬼と捜査官はどんな結末を迎えるのか? そこも想像以上の壮絶さで脳裏にやきつく。