1984年に滋賀・日野町で起きた強盗殺人事件をめぐる再審(やり直しの裁判)を前に、弁護側が検察側に対し、新たな証拠の開示請求を行いました。証拠の中には被害者の遺体から採取された『爪』などが含まれていて、弁護側は犯人の手掛かりに繋がる重要な証拠だとしています。
1984年、滋賀・日野町の酒店で、経営者の女性が殺害され金庫が奪われた、いわゆる「日野町事件」では、常連客だった阪原弘さんが強盗殺人の罪で無期懲役が確定し、服役中に病死しました。遺族らは再審(裁判のやり直し)を求め続け、今年2月、最高裁が再審開始を認めました。
再審を前に、現在は裁判所・検察・弁護団による三者協議が開かれていて、先月、検察側が最高裁の決定を「重く受け止める」とし、有罪立証のための新たな立証を行わない方針を明らかにしています。
これを受け、先月30日に弁護側が検察側に対し、新たな証拠の開示を請求しました。証拠の中には、被害者の遺体から採取された爪や皮膚片が含まれていて、弁護側は「犯人の手掛かりに繋がり、阪原さんが無罪であることを一層明らかにする」などと主張しています。また、供述調書についても「事件発生時に間近い時期に作成されているはず」だと主張しています。
次回の三者協議は来月14日で、検察側が開示請求に応じない場合について、大津地裁に対し、証拠開示命令を出すようにも求めています。
1984年12月、日野町の酒店で店主の女性が行方不明となり、翌年1月に、遺体となって見つかりました。店からは金庫がなくなり、警察は強盗殺人事件として捜査を開始。遺体発見から3年後に逮捕されたのが、店をよく訪れていた阪原弘さんでした。
阪原さんは、事件当日に店の近くで目撃されていたことなどから容疑者として浮上。警察の調べで「自分がやった」と“自白”しました。
阪原さんは裁判で一転して無実を訴え続けましたが、取り調べ時の“自白”と状況証拠などから2000年に無期懲役の判決が確定。2011年、服役中に75歳で亡くなりました。
阪原さんの遺族が「警察の証拠は犯人に仕立てるため偽装された疑いがあり、自白は強要されたもので信用性が無い」などと主張して再審を求め、2018年に大津地裁が、検察による証拠の偽造を認定。今年2月、最高裁が検察側の特別抗告を棄却し、再審開始を認める判断を下しました。
今後、大津地裁で開かれる再審公判で、阪原さんに対する無罪判決が言い渡される見込みです。