東京地検特捜部が捜査した詐欺事件などで違法な取り調べをしたとして、東京地裁(宮田祥次裁判長)は24日、同部の検事として取り調べを担当した堀木博司検事(57)(大阪高検所属)を特別公務員暴行陵虐罪に問う刑事裁判を開く決定をした。取り調べを受けた会社社長の被告が刑事裁判にかけるよう付審判請求していた。【動画】「黙秘を人のせいにするな」どなる検事…取り調べ映像(音量注意)
検事が付審判決定を受けて被告になるのは、大阪地検特捜部が捜査した事件で取り調べをした検事に続き2例目。今後、同地裁が検察官役の弁護士を指定し同地裁で公判が開かれる。
付審判請求をしたのは、太陽光発電関連会社「テクノシステム」社長の生田尚之被告(52)。東京地検特捜部が2021年、詐欺と会社法違反(特別背任)の容疑で逮捕・起訴し、1審で懲役11年の実刑判決を受けた(控訴中)。
同地裁の決定によると、堀木検事は21年7月5日、東京拘置所で勾留中の生田被告を取り調べた際、「黙秘を人のせいにするな」などと怒声を上げ、陵虐したとされる。
特捜部が逮捕した容疑者の取り調べは、刑事訴訟法で全過程の録音・録画が義務付けられており、生田被告の取り調べも映像に記録されていた。最高検は22年、一連の取り調べを「不適正」と認定していた。生田被告は24年11月、堀木検事を特別公務員暴行陵虐容疑で刑事告訴。東京高検が今年3月、「著しい精神的苦痛を与える陵虐行為と認める証拠はない」として不起訴(嫌疑不十分)としたため、同4月に付審判請求していた。
東京地検の市川宏・次席検事は「個別事件の裁判所の判断についてコメントは控える。検察としては、引き続き、取り調べの適正確保に努める」としている。
◆付審判請求=職権乱用などで不起訴になった公務員について、刑事訴訟法に基づき、裁判所に審理を求める手続き。裁判所が審判に付すると決定すれば、通常の刑事裁判と同様に審理される。最高裁によると、1951年から2024年までに付審判決定が出たのは23件。裁判が確定しているのは22件で、このうち9件が有罪、13件は無罪や裁判を打ち切る「免訴」となっている。