1984年に滋賀県日野町で酒店経営の女性(当時69歳)が殺害された「日野町事件」で、強盗殺人罪で無期懲役となり、2011年に75歳で病死した阪原弘(ひろむ)・元受刑者の再審公判に向けた三者協議(非公開)が19日、大津地裁であり、検察側は有罪を主張しないと表明した。阪原さんの再審無罪が確実となった。
戦後に起きて死刑や無期懲役が確定した事件で、本人の死亡後に再審(死後再審)が開かれるのは初めて。公判期日は決まっていない。
協議後、大津地検の萩原良典次席検事は「一切の記録を改めて慎重に精査・検討し、有罪の主張はせず、新たな立証も行わないこととした」とのコメントを発表。その後、報道各社の取材に応じ、「積極的に無罪主張もしない。裁判所にはしかるべき判断を求める」と述べた。阪原さんが亡くなっていることには「再審公判まで長い時間がかかり、重く受け止めている」と語った。
阪原さんは女性の酒店の常連で、県警の任意の取り調べに殺害を認め、1988年に逮捕された。公判では無罪を主張したが、地裁は95年、容疑者を事件現場などに連れて行き、犯行を再現させる「引き当て捜査」で阪原さんが遺体の遺棄現場を正確に説明したことを根拠に有罪とし、2000年に最高裁で確定した。
阪原さんは服役中の01年に再審を請求したが、11年に病死した。長男・弘次さん(65)ら遺族が12年に第2次請求を行い、地裁が18年、再審開始を決定。引き当て捜査で警察官が阪原さんを誘導した可能性を指摘した。大阪高裁も支持し、最高裁が今年2月に検察の特別抗告を退けた。