抗告は必要?遺族の思いや時間の課題も…“再審制度のあり方”を司法関係者と考える

再審制度を見直す刑事訴訟法改正案が、衆議院で審議入りした。これまで自民党内の議論となっていたのは、検察官の「抗告」を禁止するかどうか。抗告とは、裁判所が出した決定に、検察が不服を申し立てる手続きのことだ。【映像】「抗告」の“現行”と“改正案”違い(10秒でわかる詳細)地裁が再審開始を決定しても、検察が抗告を繰り返すことで審理の長期化を招いているとして、自民党の多くの議員が反対していた。例えば1966年の静岡県一家殺害事件で逮捕された袴田巌さんの場合、再審開始の決定後、検察側の抗告もあり、再審が始まるまで9年もかかった。

 改正案をめぐり法務省側は当初、抗告を逆に認める内容を求めていた。最終的には「全面禁止」には至らなかったものの、検察の抗告を「原則禁止」とすることが盛り込まれた案で自民党は了承、閣議決定された。

 自民党内からは十分納得とまではいかない声も上がる一方、専門家からは「再審で救済する前に、冤罪(えんざい)を生み出さないために、取り調べのあり方を議論すべき」との指摘もある。『ABEMA Prime』では、抗告の必要派・不要派と議論した。
袴田事件の再審開始を決定した元裁判官で、弁護士の村山浩昭氏は「検察の不服申し立ては必要なく、有害だ。再審開始の決定は『無罪の言い渡し』とは違い、もう一度裁判をやり直すだけの中間的な決定だ」と語る。

 その扱いについては、「裁判官は全部の証拠を見ず、検察官が提出した証拠で、確定判決を下している。ところが再審開始は、それとは違う証拠が入り、『この証拠があれば有罪判決にしなかった』と決定される。もう一度裁判を行うだけで、確定判決の効力は失われていない」と説明する。

 裁判官の立場から「かなり慎重に判断している。再審開始決定を出す裁判官は、相当疑わしいと思っていることは事実だろう」としつつ、「実際は再審開始決定が出ても、不服申立てによって延びる。袴田事件では9年延び、今年確定した。日野町事件は7年7カ月。やり直しの裁判が始まるまでに、それだけ時間がかかるのはどうなのか。やり直しの正式な裁判で、検察官は有罪を主張・立証できる。それをきちんとやればいい」と求める。

 再審見直しの超党派議連で事務局長を務める、自民党の井出庸生衆院議員も「抗告は不要だ。袴田事件は58年のうちの9年だが、決して短いとは言えない」と主張する。「再審請求の手続きは非公開で、その場で冤罪かどうかを決める。再審で無罪判決が出ると、検察側は一度も控訴・上告していない。もし有罪だと思うのなら、再審を始めて、公開の裁判で控訴・上告すればいい。非公開の場で、その人の人生をさらに10年前後も奪うのはおかしい」。

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