〈「殺ったのは恋人でも、元カレでもない」自宅玄関で見つかったのは“全裸の女性遺体”⋯25歳女性を絞め殺した【真犯人はどこへ消えた】(平成28年の事件)〉 から続く【写真】この記事の写真を見る(2枚)犯人は恋人でも元カレでもストーカーでもなかった⋯⋯。平成28年、東京の中野区で25歳の女性が自宅で全裸遺体で発見された事件の「真犯人」はなぜ捕まったのか? なおプライバシー保護のため、登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/ 最初から読む )
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この男は日頃から、桃香さんの生活を注視していた節があり、付近の防犯カメラにたびたび写っていた。
「自分じゃありません!」
男も指紋や靴型、口腔内細胞を任意提出したが、この男のDNAも桃香さんの遺体に残されていたDNA型とは一致しなかった。
捜査は振り出しに戻った。警察は桃香さんと交友関係のあった人物を片っ端から調べたが、いずれも犯人のDNA型とは一致しなかった。警察に保存されている前科前歴者のDNA型データベースでも一致する人物は見つからなかった。
「こうなったらローラー作戦しかない」
警察は被害者宅から半径500メートル圏内に住む75歳以下の成人男性に対し、任意のDNA鑑定を実施した。約80人の捜査員が検査キットを持って、各家を訪問した。仮に協力を拒んだ場合、その理由を追及すれば、自白する可能性もある。とにかく犯人に接触できさえすれば、逮捕は時間の問題と考えていた。
ところが半年を過ぎ、検査対象が1000人を超えても、犯人と一致するDNA型を持った人物は見つからなかった。
そこで警察は新たな手掛かりを見つけるため、現場周辺から事件後に転居した人物まで捜査対象を拡大することにした。その中に混じっていたのが真犯人の矢吹政広(同37)である。
矢吹は事件当時、被害者宅から約400メートル離れたアパートに住み、桃香さんのバイト先だった居酒屋から300メートルほど離れた不動産仲介会社に勤めていた。
矢吹は事件の2カ月前、「長く付き合っていた彼女と結婚することになった」 「彼女のお父さんが経営している飲食店で働く」「新婚で暮らすマンションも用意されている」などと言って会社を退職。しかし、その実態はなく、実家とアパートを往復するだけの生活を送っていた。
事件前日には実家からアパートに戻っていたことも判明した。事件当日には桃香さんの自宅近くの防犯カメラに写っていたことも判明した。事件翌日にはアパートの管理会社に「引っ越すことになった」と連絡し、それから1週間後には実家に住民票を移していた。
捜査員はあくまで当時の住民の一人として、矢吹のもとを訪れた。矢吹は「事件の2カ月前には会社をやめて、実家に帰ってきていたので、事件とは無関係」と説明したが、捜査員の求めを拒むことはできず、自分の口腔内細胞を提出した。
それから2週間後、警察は色めき立った。ついに桃香さんの遺体から検出された犯人のDNA型と一致する人物が見つかったからだ。