「おまわりさんに捕まるよ」
「刑務所に入れられてしまうよ」
道路に飛び出したり、友だちに意地悪をしたり……。小学校低学年や保育施設に通う子どもに対して、何度言い聞かせても効果がないと、ついこんな言葉を使ってしまう親も少なくないだろう。【写真】強盗事件で服役中の元少年から届いた手紙もちろん、「いけないことなのだ」と危機感を持たせたいという思いから出る言葉なのかもしれない。だが、安易な“脅し文句”になってはいないだろうか。
未就学児を育てる会社員男性は、子どもに手を焼いた際、そうした言葉が頭をよぎることがあるという。しかし、「警察を怖がってしまって、トラブルに巻き込まれた際に子どもが助けを求められなくなると困る」と考え、口にしないよう意識しているそうだ。
少年事件を数多く見てきた専門家の目には、「警察に捕まる」といった叱り方はどのように映るのか。少年事件に詳しい元検察官の柴崎菊恵弁護士に聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)
小さな子どものしつけとして、「おまわりさんに捕まるよ」「牢屋に入れられるよ」「牢屋に入れられるとお父さん、お母さんに会えなくなっちゃうよ」といった発言をしたことがある親は少なくないと思います。
同じような文脈で、「嘘をつくと地獄の閻魔さまに舌を抜かれるよ」といった言葉が使われることもあります。
ただ、閻魔さまと違い、おまわりさんは子どもにとって身近な存在です。その分、より現実味のある“恐怖”として受け止めてしまう子どもも多いのではないでしょうか。
「おまわりさん」という言葉は、本来、警察官を親しみを込めて呼ぶ表現だとも言われています。
だからこそ、子どもがおまわりさんを「怖い存在」と思い込まないよう、保護者にはぜひ配慮してほしい。私はそう強く感じています。
また、「おまわりさんに捕まるよ」「牢屋に入れられるよ」といった表現自体、幼い子どもに対しては不正確でもあります。
14歳未満の子どもは、仮に犯罪行為にあたることをしたとしても、刑事処罰を受けることはありません。少年法上の手続き(家裁送致や審判、保護処分など)の対象となることはありますが、刑法41条により刑事責任は問われないからです。
もちろん、警察官が事件を起こした子どもから話を聞くことはあります。
ただ、それは単に叱責するためではなく、「この子が事件を起こした背景に、家庭環境、生活環境、交友関係、性格など何らかの問題があるのではないだろうか」と考えながら、その子をより良い方向へ導こうとしている面もあるのではないかと思います。