【追跡事件簿】犯行時間はわずか数分…熊本市で「宅配ボックス」窃盗 男女2人を逮捕 早期回収で被害防げ

不在時でも荷物を受け取れる「宅配ボックス」。再配達の手間も減るためマンションやアパートへの設置が進むが、今年に入り、熊本市内でボックスに届いた荷物が盗まれる被害が相次いだ。熊本県警や防犯協会などは便利さに潜むリスクを知った上で自衛策を取るよう呼びかけている。

 今年2月の深夜、同市中央区大江のマンション。訪れた2人組が外に設置された宅配ボックスの取っ手を揺さぶり、物色していた。2人組は三つのボックスを慣れた手つきで開け、荷物を持ち去った。犯行時間はわずか数分だった。

 防犯カメラの映像を手掛かりに、熊本中央署は4月下旬、宅配ボックスに届いたズボン(約3500円相当)を盗んだとして、窃盗の疑いで大津町の会社員の女(35)と、熊本市の配送業の男(25)を逮捕した。

 署によると、女は容疑を否認したが、男は「ほかにも何度かやったことがある」と容疑を認めている。中央区では同様の事案が少なくとも十数件確認されており、関連を調べる。
2人が狙った宅配ボックスは「機械式」といわれるもの。宅配業者が荷物をボックス内に入れた後、4桁の暗証番号を設定して住人にメールで通知。住人が暗証番号を入力して解錠する仕組みだ。暗証番号を知らないはずの2人がなぜ解錠できたのか。防犯カメラの映像から工具は使っていないとみられ、署は手口を含めて捜査を進めている。

 県警生活安全企画課によると、宅配ボックスを狙った窃盗事件の統計はないが、捜査関係者は「住人が盗難ではなく配達ミスと勘違いすることも多いようだ。被害額が少ない場合、警察に届け出をしない人もいる」と被害が表面化しにくい実態を指摘する。

 どうすれば被害を防げるのか─。宅配ボックスや郵便受けを製造する「ナスタ」(東京都)が、2024年に集合住宅に暮らす500人に実施した調査では、ボックスに荷物が届いてから取り出すまでにかかった時間は「半日以上たってから」が23・4%、「届いてから2~3カ月」といった回答もあったという。同社の担当者は「被害に遭わないためにも、届いた荷物は早期に回収してほしい」と呼びかける。
最近は、インターネット通販の利用が増え、宅配ボックスの有無を住まい選びの条件にする人もいる。県警生活安全企画課は「集合ポストや宅配ボックスの近くに防犯カメラがある物件を選ぶなど対策をしてほしい」とアドバイス。一般社団法人・県防犯設備協会は「高価な物を注文する際は時間指定で対面で受け取ったり、コンビニに届けてもらったりした方が安全」としている。(志垣杏佳、清水咲彩)

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