画面越しの同僚が、実は北朝鮮のIT労働者かもしれない。コロナ禍で増えたフルリモート採用の隙を突き、ディープフェイクで他人になりすます北朝鮮のIT労働者が急増中だ。
2025年のレポートによれば、侵入を許した企業は前年比220%と爆発的に増え、世界で5000社以上が標的になったという。
年間最大6億ドルを稼ぎ出すその手口は、もはや「口元」や「まばたき」で見抜けるレベルではない。日本でも確認された「なりすまし面接」と、その対策とは?
■北朝鮮のIT労働者が「なりすまし」で面接に
コロナ禍を契機にフルリモート勤務が可能になる中、就職面接をオンラインで行い、1度も対面で会わないままの同僚がいるケースも増えている。
そんなオンライン面接に、なんと北朝鮮のIT労働者が紛れていた事例が多数報告されている。彼らは国籍や名前を偽り、面接時にはディープフェイク技術で他人になりすましているのだ。
国連安全保障理事会の専門家パネルが2024年にまとめた報告書では、北朝鮮のIT労働者たちは世界中で、年間2億5000万ドル〜最大で6億ドルを稼いでいると推計されている。
また、米司法省が起訴した北朝鮮のIT労働者とその協力者への起訴状によれば、彼らは2018年から2024年の間に少なくとも64社のアメリカ企業に潜入し、確認できた10社からだけでも86万ドル以上の収入を得たという。
先ほどの国連の数字を信じるのであれば、アメリカで発覚した事例は氷山の一角と言えるだろう。
北朝鮮のIT労働者は、中国やロシア、東南アジア等を拠点に、現地の協力者や仲介者を介して活動している。 標的となるのはソフトウェアやアプリ、ウェブ開発を行うIT関連企業で、スタートアップから中小企業、また大手にも侵入事例がある。
こうした傾向は、近年さらに高まっているという。米セキュリティ企業のクラウドストライク社がまとめた2025年のレポートによれば、過去12カ月で320社超の企業が北朝鮮の労働者の侵入を許し、その数は前年比220%になっている。
その他オンライン面接だけであれば、世界5000社以上で事例が確認されたという報告もある。
■セキュリティ企業でも見抜けず採用してしまった
では北朝鮮の目的は何か。それは第一に「外貨獲得」と見られている。周知の通り、北朝鮮は核開発とそれに伴うさまざまな制裁から財政難に陥っている。