韓国・尹氏罷免1年、保革に明暗 革新与党「内乱勢力」一掃 保守野党は内紛で支持低迷

韓国で2024年に「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領(当時)に、憲法裁判所が罷免決定を出してから4日で1年。ソウルの憲法裁近くでは同日、革新、保守系の双方の市民団体が集会を開いた。李在明(イジェミョン)政権と革新系の与党「共に民主党」はこの間、「内乱勢力の根絶」を徹底。保守系の最大野党「国民の力」は尹氏への対応を巡る党内対立などもあって急速に支持を失い、弱体化している。 (ソウル竹次稔)■尹錫悦前大統領の罷免を誇る革新系市民団体の集会=4月4日、ソウル(撮影・竹次稔)【写真】「憲法を守り、民主主義を守り抜いた歴史的真実を記憶すべきだ」。革新系団体はこの日を「市民勝利の日」と位置付け、集まった支持者らが声を上げた。国会の弾劾訴追から罷免に至る位置付けを、歴史的に定着させる狙いだ。
韓国内外では、罷免までの動きを「ノーベル平和賞に値する」と称賛する見方が一部にある。李氏は2月にX(旧ツイッター)で、推薦の動きを歓迎するコメントを投稿。集会参加者は「大統領だからといって何でもしてよいわけではない。戒厳令を市民が防いだことがノーベル賞と認められればうれしい」と話した。

 李氏は昨年6月に大統領に就任すると、戒厳令に関与した公務員や軍人の処分など前政権の疑惑追及を進めてきた。

 国会で圧倒的優位に立つ与党は、大統領権限を国会が制御できるよう、戒厳令が出されても議会の承認が得られなければ自動失効することを盛り込む改憲案の議論を主導。6月3日には次の政治決戦の場となる統一地方選が控えており、この日に改憲の是非を問う国民投票を実施できるよう準備を進める。

 一方の保守系。尹氏は2月中旬に内乱首謀罪で無期懲役の一審判決を受けたが、尹氏の復権を求める声は根強い。保守系の団体も4日に憲法裁近くでデモを開き、参加者は「ユン・アゲイン」と叫びながら李政権を批判した。

 ただ、双方の支持率は大きく開く。世論調査会社「韓国ギャラップ」が3日発表した政党支持率は、共に民主党が48%と高水準。一方、かつて尹政権を支えた国民の力は18%に落ち込み、統一地方選でも厳しい戦いが予想される。

 背景にあるのが尹氏への支持を巡る党内の内紛だ。国民の力の中では、尹氏の復権を求める勢力に頼るグループと、絶縁を訴える議員らの対立が深まる。

 支援する市民団体も弱体化しつつある。ソウル中心部で毎週のように大規模な集会を主催してきた牧師が、昨年1月に尹氏の勾留延長に反発した支持者らが地裁に侵入した事件を首謀した容疑で逮捕、起訴された。尹氏を擁護する保守系人気ユーチューバーも、李氏の虚偽情報を流した疑いで警察の捜査を受けている。

 一連の動きを敬遠し、既存の保守層からも支持が離れている。仁川市から保守系の集会に参加した男性(65)は「与野党ともに、権力闘争ばかりして国民のことを本当に考えているのか疑問だ」とため息をついた。

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