プロレスラー、藤原喜明さんは、ステージIIIの胃がんから生還し、手術から1年でリングに復帰しました。「リングに上がるとアドレナリンが出て、スーパーマンになれるんだよ」と言います。(聞き手・斎藤雄介)藤原喜明さんの写真ギャラリー【写真3枚】
――胃がんの手術から1年後の2008年12月18日に初代タイガーマスク、佐山サトルさんと試合をしています。このころはだいぶ、回復されていたんですか。
回復なんかしてないよ。そんなに簡単に回復するわけない。
そのとき、佐山のヤローが俺の腹をね、バンバン蹴りやがった。
手術してくれた先生が会場にいたんで、怒ったらしい。「すぐにやめさせろ。藤原が死ぬぞ」って。
――手術の跡をけがしたら大変じゃないですか。
けがが怖かったらプロレスなんかしないよ。
――これで本格的に復帰ですか。
復帰っていうか、来いと言われれば行くよね。仕事だから。
プロレスラーってね、リングに上がるとアドレナリンが出て、スーパーマンになれるんだよ。膝がボロボロでもリングに立つとシャキッとする。
マサ斎藤さんは、パーキンソン病で車いすだったんだけどね。リングに上げられたら、すくっと立ち上がったそうだからね。
――胃を切除すると、食べ物が胃にとどまらず小腸に流入するために「ダンピング症候群」が起こりやすくなると聞きます。
車を運転していたとき、冷や汗が流れて、気持ちが悪いということがあったんだよ。
なんだこりゃと思って。それから、本を読んでダンピング症候群ということを知った。先生、おれに一言も言わないんだよ。
小腸に入った食べ物から糖分が吸収されて血糖値が急に上がるんだよね。そのあと、インスリンが出て血糖値がグーンと下がるんだよ。
急に来るからびっくりするよね。冷や汗が出て気持ちが悪くなるから、「おれ、このまま死ぬのかな」って思うよ。
それからいつもコーラとか用意しておいて、車とか運転する時、置いておくようにした。
――プロレスにも支障をきたすじゃないですか。
おれの場合は、炭水化物とか糖分の多い食事をして2、3時間後だね。来るのがわかっているから、アメとか用意しておくんだ。