神戸市北区で2010年、私立高2年堤将太さん(当時16歳)が殺害された事件で、遺族が、当時17歳だった受刑者の男(33)とその両親に対し、計約1億4900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁(島戸真裁判長)は19日、男に計約9600万円の支払いを命じた。遺族が主張していた男の両親の監督責任などは認めず、両親への請求は退けた。
判決などによると、事件は10年10月4日夜に発生。堤さんは頭や首などをナイフで複数回刺されて死亡した。男は事件直後に千葉県に転居したが、約11年後の21年8月に兵庫県警が殺人容疑で逮捕。昨年10月、最高裁で懲役18年の判決が確定した。
訴訟で遺族は、両親が事件前に男の暴力的傾向を把握していた上に、事件後に男が関与している可能性が高いと認識しながら転居を認めたと主張。両親が監督義務を怠り、転居で事件の解決を遅らせたとして賠償を求めていた。
島戸裁判長は、両親の責任について、事件前に男の行動を監視、把握するのは困難と指摘。転居は「逃亡に寄与したといえる」としつつも、「男の犯行と確定的に認識していたとまではいえない」として、両親の賠償責任を認めなかった。
判決後、堤さんの父・敏さん(67)は神戸市内で記者会見し、「原告の気持ちを突き放すような、納得できない判決だ」と話した。