福士蒼汰が主演を務めるドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』(フジテレビ系)。本作は、広報と捜査現場の刑事の対立と葛藤、そして事件と報道の裏側を描く完全オリジナルストーリーの社会派警察ドラマ。そんな本作のレビューをお届け。(文・あまのさき)【写真】福士蒼汰主演作が超面白い…貴重な未公開写真はこちら。『東京P.D. 警視庁広報2係』劇中カット一覧
ドラマの放送枠が増え続けている昨今。なかでも火曜日は激戦だ。どうしてもNHKとTBSの名作がそろう22時台に目がいきがちだが、実は21時台もかなりやばい。
テレビ朝日で放送中の『再会~Silent Truth~』は、人気作家・横関大が江戸川乱歩賞を受賞した同名小説の実写化。
竹内涼真演じる刑事が、殺人事件の容疑者となった初恋の相手と23年ぶりに再会する。物語の顛末もさることながら、苦悩する竹内の演技が凄まじく、観ているこちらまで苦しくなる。
そして、同時間帯にフジテレビで放送されているのが福士蒼汰主演の『東京P.D. 警視庁広報2係』(以下、『東京P.D.』)だ。
正名僕蔵、吉原光男、吹越満、津田寛治、そして緒形直人といった硬派なキャストが顔をそろえているところからもぐっと信頼度が高まるが、そのうえさらにフジテレビ初となるライターズルーム方式(複数の脚本家が共同で執筆するシステム)を採用した脚本の巧さも光る。
また、これは個人的に常々感じていることでもあるのだが、“実生活で知らない世界を覗けること”がエンタメ作品を鑑賞する楽しみの1つであり意義でもあると考えている。
その点『東京P.D.』は、警視庁の広報課が舞台となっており、福士演じる広報課に突然異動を命じられた今泉とともに、これまであまり描かれることのなかった、事件と報道にまつわる人の動きを垣間見ることができる。
例えば、『東京P.D.』1、2話では、現職の警察官によるストーカー殺人事件を巡って、警察上層部と現場、および広報課の苛烈な攻防が展開。
警察の威信にかけて事件を詳らかにしたくない上層部は、警察官の人事権を一手に握る人事監察課長が出張ってきて、各課の課長が記者たちに捜査状況を共有する“レク”とは別のところで、あたかも被害者に非があったかのような話を吹聴する。挙句、現場付近に居合わせたホームレスの男を殺人犯にでっちあげるなど、やりたい放題だ。
記者たちと通じている広報課は、現場からよく思われていない。とはいえ、同じ警察組織に所属している以上、事件の早期解決という志は一致している。
現場は現場の、広報は広報の、ぞれぞれの視点から事件を捉えることで、上層部の目をかいくぐり、真犯人に肉薄する。
しかし、上層部の思惑通りにこそならなかったものの、事件は後味のよい結末は迎えない。社会の世知辛さと、組織のパワーバランスを前に、後味はどちらかといえば苦い。
着任早々、今泉も警察への不信感を抱き、辛酸を舐める結果となった。それでも、ここに至るまでの人間模様と、現場で捜査にあたる各人が秘める正義感には、心の震えを感ずにはいられなかった。