『テミスの不確かな法廷』(NHK総合、火曜日よる10時から)が、ドラマの大詰めである死刑を執行された殺人罪の家族が起こした再審請求という、日本では今まで認められたことのない法廷に入っていこうとする。【画像】『テミスの不確かな法廷』発達障害の裁判官・松山ケンイチが挑む真実、“個性”に光を当てるNHK「ドラマ10」、鳴海唯、恒松祐里、市川実日子…脇を固める女優たち主人公の特例判事補の安堂清春(松山ケンイチ)は、前橋地裁第一支部の裁判官である。任官7年目。「特例判事補」とは、通常は単独つまり裁判長ができず、合議体では2人以上は参加できない経験が浅い判事補について、最高裁の指名によって同様の職務ができる裁判官である。
安堂は、自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠如多動症(ADHD)の診断を受けて、精神医の山路薫子(和久井映見)の相談を受けながら仕事を続けている。
父親は今や最高検察庁の幹部となっている、結城英俊(古木茂光)である。安堂は裁判官に任官するにあたって、自分が発達障害であることから裁判官に適しているか、また周囲に障害の事実を告げるべきか悩んだ。父の結城に相談すると「黙って仕事をすればいい」だった。
安堂は今も、その判断が正しかったのかどうか、葛藤(かっとう)を続けている。主治医の山路(和久井)は、個性のひとつとして受け入れるよういつも諭(さと)すようにいうのだった。
ドラマのクライマックスとなる、第6回の再審請求において、安堂は部長判事の門倉茂(遠藤憲一)を裁判長としてその陪席となるかどうか、悩む。
この事件の再審請求は2回目。一家4人の殺害事件の容疑者として逮捕された、当時36歳の秋葉一馬がわずか7年後に死刑を執行された。秋葉は取り調べ段階で犯行を認めたが、裁判では一貫して犯行を否定した。
再審請求は秋葉の娘の吉沢亜紀(斎藤飛鳥)によって起こされた。彼女は事件の時には幼児だったが、事件の時刻には父と一緒だった記憶があった。
再審を起こす弁護士に人権派の穂積英子(山本未來)。彼女に加わるのが、本ドラマのヒロインである東京の弁護士事務所を辞めて地元に戻ってきた、弁護士の小野崎乃亜(鳴海唯)。
小野崎は、東京時代に交通事故を起こしたとされる被告に対して「罪状を認めたうえで、情状酌量を求めるのが早い」と、実は無実の被告を追い詰めて涙を流された、苦い記憶から地元に戻ったのだった。東京の中央官庁の有力官僚だった、父の威光もあって地元企業の顧問弁護士を中心に働いていた。過去の経験から刑事事件はやらない主義を貫いてきたが、地元弁護士会によって国選弁護士をする中で刑事事件に再び取り組むようになった。
安堂が発達障害であることは、小野崎(鳴海)はもちろん知らないのだが、安堂が真実を求めるこだわりをみることで彼を最も理解するひとりとなった。
ヒロインとして、鳴海の演技は魅力的である。これから映像界で注目を集めていく素材と感じる。立ち飲み屋で出会った地裁の部長判事の門倉(遠藤憲一)と飲みながらくだを巻く。安堂が夕食のナポリタン・セットを食べる行きつけの喫茶店に待ち伏せしては、自分が集めた証拠について意見を聴く。