《少女への性的虐待疑惑の渦中》アンドリュー元王子が逮捕 英王室は「ノブレス・オブリージュ」を発揮し“上級国民”への怒りを鎮められるのか

英国チャールズ国王の弟アンドリュー元王子の逮捕は、近代史においては初の王室高位メンバー逮捕で、歴史的には17世紀に王政廃止のきっかけとなったチャールズ1世国王以来の出来事となった。王室を敬う気持ちとともに、いわゆる「上級国民」への根深い不信がある英国民の気持ちをおさめる術はあるのか、臨床心理士の岡村美奈さんが分析する。【写真】釈放されたアンドリュー元王子は前を見て目をカッと見開いて…ジャグジーでのけぞるクリントン氏らも
* * * 英王室から逮捕者が出た。英国でも異例のこと、とはいうものの、英国民にとっては当然のことがなされただけかもしれない。チャールズ国王の弟、アンドリュー元王子が2月19日、英警察に逮捕された。米国で少女らの性的人身売買で起訴され拘留中に自殺した、米富豪エプスタイン氏に機密情報を漏洩した疑いだという。元王子は警察に約半日間拘束、事情聴取を受けた後に釈放された。

 エプスタイン氏から紹介された少女への性的虐待疑惑で逮捕されたのかと思ったが、逮捕容疑は”公務上の不正行為”。2010年~2011年に王室の貿易特使としての公務で知り得た機密情報を、エプスタイン氏に漏洩していた疑いだという。どんな疑惑にしろ、元王子は逮捕された。

 階級社会である英国の一般市民にしてみれば、王族や貴族といった特権階級への思いは複雑だろう。欧米社会には「ノブリス・オブリージュ」という、高い地位や財産、権力を持つ者は、その恵まれた地位により、それ相応の社会的責任や義務を果たすべきであるという道徳的価値観が広く根付いているといわれる。王族など生まれながらに特権階級にいる者は、その特権を享受するだけでなく、社会的責任を果たすべきだという考え方だ。裏返すなら、罪を犯せば潔く罪を認め、相応の処罰、処分を率先して受けるべきだということになる。それゆえ、責任や義務を果たさない者への反発はより大きい。

 日本でも同じようなことが起きた。2019年の池袋暴走事故の加害者が在宅起訴された際、元官僚という上級国民だから逮捕されないという内容が拡散され、批判や非難が渦巻いたのだ。英国のような階級社会ではないが、特権階級的な見方は日本にも存在する。”それが上級国民”だった。ネット上のスラングで、富裕層や上流階級、官僚や大企業の経営陣、政治家など地位や名声があり、その政治力や財力によって罪や責任を免れると考えられている人々のことをいう。罪を認めず、逮捕もされない加害者に対する反発や批判、非難はすさまじかった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする