「闇バイト」実行犯に勧誘される若者の共通点とは?現役慶大生が開発、リアルすぎる「勧誘→脅迫」追体験する謎解きゲームの中身

SNSやインターネット掲示板を介して、詐欺や強盗の実行犯を募る「闇バイト」。具体的な業務内容を伏せたまま「高額報酬」という甘い言葉で誘い出す投稿が溢れている。犯罪に加担するハードルがあまりにも低く、逮捕者や警察に保護を求める10代や20代の若年層が後を絶たない。【写真】闇バイトを追体験する謎解きゲームのプレイ画面。SNSで学生証と自撮りを送ってしまい……この深刻な社会問題に対し、従来型の啓蒙や注意喚起とは一線を画すアプローチで、解決に挑む現役大学生たちがいる。彼らが開発した没入型防犯ゲーム『レイの失踪』は、どのような変化をもたらそうとしているのか。
「僕もちょっと前まで高校生だったので分かりますが、学校の先生が『闇バイトは犯罪だ』『SNSは危険だから気をつけよう』と教壇で訴えても、正直、生徒は聞く気が起きないんです。そういう授業って一番『内職』の時間なんですよ」
苦笑交じりで語るのは、教育系スタートアップClassroom AdventureのCEOであり、現役の慶應義塾大学生である今井善太郎氏だ。同社はゲームの力を通じて、若い世代に社会問題を伝える取り組みを続けている。

彼らが提供するプログラム『レイの失踪』は、闇バイトに巻き込まれ、行方不明になった女子高校生レイを探し出す謎解きゲームだ。実際にスマートフォンを使い、レイのSNSに残された痕跡をたどる。
これまで、全国の学校300校以上でこのゲームを使った授業が行われたという。

画面に広がるのは、見慣れた「X」を模した精巧なUIだ。投稿を遡ると、レイが金銭的な悩みを抱えていたことが断片的に浮かび上がってくる。例えば、ダイレクトメッセージの中には、「フウト」と名乗る人物からの甘い誘惑が残されている。

「スマホを代わりに契約するだけでお金がもらえる」「あなたが捕まることは絶対にない」。そんな言葉に揺さぶられ、レイは自撮り写真や学生証の画像を送り、さらには匿名性の高いメッセージアプリへと誘導されてしまう。
実際、警察庁の調査によると闇バイトの「受け子」になった経緯として半数近くが「SNSから応募」だ。

多くの中高生たちにとって身近なSNSに、闇バイトに誘う魔の手がある。だからこそ、生徒たちが「自分にも起こり得るかも」と関心を持てるよう、リアルなSNSの投稿を再現し、ゲームで疑似体験してもらうのだという。

「このゲームはキャラクターに入り込むのがポイントです。ストーリーを通じて、仮想空間上でその人になりきり、今の心理状態だったら自分も引っかかってしまうのでは、という感覚を体験してもらうのが狙いです」

物語が進み、プレイヤーが警察の相談専用ダイヤルの通報ボタンを押したその瞬間、ゲーム内のスマートフォンに一本の電話がかかってくる。

「……おい、通報したな? 全部わかってんだよ。逃げられると思うなよ」

スピーカーから流れる、真に迫った犯人の脅迫電話。ゲームという安全圏にいながらも、リアリティがあり冷や汗をかく演出だ。

「ある生徒から『今学期に入って初めて内職しなかった』と言われたときは、手応えを感じましたね。単語帳を広げていた子たちが、それを投げ捨ててゲームに没頭する。まずは関心を持ってもらうことがとてつもなく大事なんです」

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