かつては「オレオレ」と身内を装った詐欺電話だが、最近は警察になりすます「ニセ警察詐欺」が急増し、被害額も膨れ上がっているという。「知らない番号からのだから疑う」──この常識が現代では通用しなくなっているという。これに対し、警察庁は特殊詐欺の防止を目指し、詐欺電話防止アプリを認定・推奨する制度を始めた。どのような制度がスタートするのか、高齢者を狙う詐欺にはどんなものがあるのか、高齢者の転職を支援し、深い接点を持つ筆者が解説する。
高齢者を狙った電話による詐欺は、かつて「オレオレ詐欺」と呼ばれていたが、最近の詐欺は「オレオレ」とは切り出さない。名称も「特殊詐欺」と呼ばれることが多くなった。2025年は特に警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」の手口が増えたという。
そんな中、2025年の年末、警察庁から「特殊詐欺対策アプリに係る警察庁推奨制度」が発表された。民間企業が提供する詐欺電話を防止するアプリについて、警察庁が設けた基準に適合するものを「警察庁推奨アプリ」として認定するものだ。
特殊詐欺に国際電話番号が使用されるケースが急増しているといい、警察庁ではこれまでにも固定電話の国際電話の理由休止窓口の案内や、携帯キャリアの着信拒否の推奨などを行っていたが、さらに「警察庁推奨アプリ」の認定により、強化を図る。
筆者が経営するシニア専門の人材紹介サービスでも、なかなか電話に出ない方や詐欺電話ではないかと疑う方などが増えている印象があるが、現在の特殊詐欺の電話にはどのような特徴があるのだろうか。同じシニア向けサービスとして情報交換を行う、電話・ネット詐欺対策アプリの企業にも取材を行いながら、最近の特殊詐欺の傾向や対策をまとめた。
2025年の末、12月25日に警察庁が発表した内容によると、2025年11月末時点での特殊詐欺の認知件数は2万4912件で、前年同期比で6253件増加しているという。被害額も1,200億円を超えている。特殊詐欺の認知件数は、すでに前年の年間認知件数2万1043件を大幅に超えた。
特殊詐欺の方法としては、いわゆる「オレオレ詐欺」のような身内をかたるものではなく、警察になりすまして「容疑がかかっている」などの連絡をしてくる「ニセ警察詐欺」がやはり多く、認知件数では特殊詐欺全体の38.7%、被害額では特殊詐欺全体の68.6%をニセ警察詐欺が占めるという。
現在は国際電話番号からの詐欺電話が増えており、犯行利用された国際電話番号は2025年11月末時点で、前年同期比4万4886件増の8万6180件とのことだ。
実は筆者が経営する会社の社員でも、ニセ警察詐欺の電話を受けた者がいる。やはり「+」から始まる国際電話が携帯電話にかかってきて、つい出てしまうと、警視庁の刑事を名乗る人物から容疑がかかっていることを告げられ、当日中にかなり遠方の県警に出頭を求められたそうだ。
筆者の部下は、ここまで聞くと詐欺電話であることを確信し、そのまま遠方の県警に出頭することを承諾すると、そのまま警視庁の刑事を名乗る人物は電話を切ったという。ここで出頭が難しいと言ったり、本当に警察なのか疑ったりすると、SNSのチャットなどで警察手帳や逮捕状の画像を送ったり、逮捕を免れるためにお金の振り込みや金の延べ棒の購入を求めたりするらしい。本物の警察はそうしたことはしないと、警察庁でも注意喚起している。
また、ニセ警察詐欺などの電話による特殊詐欺以外にも、SNSなどで表示される著名人の画像や動画を無断で使用するなどした広告を入口に投資を持ちかける「SNS型投資詐欺」や、SNSやマッチングアプリで接近して恋愛感情や親近感を持たせ、その後に投資や振り込みへと誘導する「SNS型ロマンス詐欺」なども増えているといい、これらについての注意や情報も警察庁が発信している。