摂取すると、手足のけいれんや幻覚作用を引き起こし、さらに泥酔したような状態になることから、“ゾンビたばこ”とも呼ばれる、指定薬物の「エトミデート」。【画像11枚】“ゾンビたばこ”体にどんな害が?なぜ日本にまん延?専門家がくわしく図解 を見る日本では2025年5月から、医療等の用途以外での製造・輸入・販売・所持・使用等は禁止される「指定薬物」に指定されていますが、沖縄県を中心に摘発が相次ぎ、2025年11月には渋谷区で都内初の逮捕者が。12月には所持・使用容疑で沖縄・那覇市の14歳の中学生が逮捕、2026年1月にも広島で逮捕者が出ました。
全国的な蔓延が危惧される事態について、木原稔官房長官は12月の会見で「絶対に使用しないこと。そして使用している場合には直ちにやめること。使用により異常症状が見られた場合には、速やかに医療機関を受診すること」と呼びかけを行いました。
通称“ゾンビたばこ”と呼ばれている「エトミデート」は、1964年ベルギーで開発された医薬品成分で、海外では麻酔導入薬や鎮痛剤として使用されていますが、日本では未承認の医薬品成分で、2025年5月に「指定薬物」に指定されています。
薬物問題に詳しい 武蔵野大学 阿部和穂教授:
ゾンビたばこの成分「エトミデート」、これは麻酔薬です。麻酔薬というのは、脳の神経の働きにブレーキをかけることで眠りをもたらすのですが、過量になってしまうと、脳の働きを全面的にストップさせてしまう。究極は息ができなくなって死んでしまう危険性もあります。
「エトミデート」を電子たばこのリキッドに混ぜて使用して吸引すると、中枢神経が抑制され、手足のけいれんや泥酔したような状態になります。継続して使用すると、肝臓や腎臓に障害を引き起こす可能性があり、大量に摂取すると、呼吸不全を起こして死に至ることもあるといいます。
――違法ではないリラックス成分のある電子たばこのリキッドと偽って流通している可能性は?
薬物問題に詳しい 阿部和穂教授:
もちろんそれはあると思います。意図的に購入している人もいれば、何も知らない形で別の情報で「これ、試してみない?」と誘われる若者も多いのではないかと思います。そういう怖さもあります。
慶応義塾大学 総合政策学部教授 中室牧子氏:
これは必ずしもゾンビたばこに関した話ではないのですが、関西の大学で毎年違法薬物に関して調査をやっていて、それを見ますと違法薬物について「簡単に手に入るだろう」と答えた人が7.6%くらいいて、薬物の使用は個人の自由だと答えている人が6.6%いるという調査結果になっているんです。
ですから、今回のような“ゾンビたばこ”は若い人の中で広がっていて、SNSを経由して入手しているという、容易に手に入りやすさというのも非常に問題なのではないかなと思いますね。
薬物問題に詳しい 阿部和穂教授:
エトミデートの特徴は作用が非常に早くて、効き目も早いんです。なので、即効性に吸引して状態がおかしくなってふらふらするんですけど、回復してしまうと。その後に待っているのは、またもう一度摂取するという。薬物依存に陥る道をたどりやすいという特徴もあります。
例えば電子たばこをやめたとしても、その先にあるのはもっと強い薬物を求めたりして、(症状としてある)肝臓や腎臓が悪くなるという障害は、エトミデートに特徴的なものではなくて、他のもっと強い薬に手を出した時は、もっとひどい健康被害が出てくるということは忘れてはいけないと思います。
――製造・流通には、反社会的組織が関わっている可能性があるというお話ですが…
薬物問題に詳しい 阿部和穂教授:
SNSでは、一般の方に分からない“隠語”のような形で取引されていることもあるそうです。
製造・流通はおそらく中国マフィアが関与していると言われています。また、日本国内での販売に関しては、いわゆる“トクリュウ”と呼ばれる反社会的勢力が関与していると。事実、そういう関係の人物が逮捕されているという報道もありますので、その可能性が高いと思っています。
――自覚がないのに使用してしまった、依存してしまいそうだとなった場合、相談できる仕組みはあるのですか?
薬物問題に詳しい 阿部和穂教授:
もちろん一番いいのは、家族や友人など信頼できる人にまずは相談していただきたいです。薬というのは心の病気でもありますので、それを物に頼るのではなく、相談できる人を頼って「どうしよう?」と正直に打ち明ける。自分が引っかかってしまったと思ったら、迷わず周りの人に相談して下さい。必ず誰かが助けてくれると思います。