近年、私たちのスマートフォンに見知らぬ国番号からの着信が急増しています。実は、国際電話を利用した詐欺が流行っているのです。【推移がわかるグラフ】特殊詐欺1万1365件中、8551件で国際電話が利用されていた(2025年6月時点)この架電をきっかけに特殊詐欺をしかけ、みなさんの個人情報やお金を盗み取る事例が多発しています。警察庁の調べによれば、2025年には特殊詐欺に使われた電話番号の75%以上が、「+」から始まる国際電話番号であったことが明らかになりました。
かつては「050」などのIP電話が悪用されていましたが、国内での規制強化に伴い、詐欺グループは海外の通信インフラへと拠点を移しています。
被害額も増加の一途をたどり、東京都内だけでも2025年10月末時点で約237億円に達し、前年同時期から140億円以上も激増するという深刻な事態となっています。この増加分の多くが、国際電話詐欺だと考えられます。
■総務省や警察を騙る自動音声と「+1」「+44」の罠
現在確認されている国際電話詐欺の手口は、巧妙かつ多様化しています。特に目立つのが、北米の国番号「+1」やイギリスの「+44」など、一見すると国際的なビジネスや公的機関からの連絡に見える番号からの着信です。
◎2025年6月時点で、特殊詐欺1万1365件中、8551件で国際電話が利用されていた
電話に出ると、日本語の自動音声で「総務省です。2時間後にすべての通信サービスを停止します」や「NTTファイナンスです。未納料金があります」といったアナウンスが流れ、焦った受信者にプッシュ操作を促します。
指示に従って番号を押すと、詐欺グループのオペレーターにつながり、個人情報の搾取や架空の料金支払いを強要されるのです。
この自動音声による詐欺はとてもよく考えられています。大半の人が電話を切ることは想定内で、犯行グループにとっては、指示に従ってボタンを押してしまう「不安を抱えた人」だけを抽出できれば成功なのです。
詐欺オペレーターは説得の難しい相手を排除し、騙せる確率の高い相手だけに集中して時間を割くことができます。「2時間後に停止」といった緊急性の高い嘘で冷静さを奪い、一度ボタンを押させることで後に引けなくさせる心理テクニックも組み込まれており、最小の労力で最大の被害を生み出す仕組みとなっているのです。