北九州市小倉南区のファストフード店で昨年12月、中学3年の男女が刃物で刺されて死傷した事件で、福岡地検小倉支部は26日、同区の無職平原政徳容疑者(44)を殺人と殺人未遂の罪などで福岡地裁小倉支部に起訴した。地検支部は通算約8か月にわたって実施した2度の鑑定留置の結果などを踏まえ、容疑者の刑事責任能力を問えると判断した。【写真】平原政徳容疑者
今後開かれる公判では、刑事責任能力の有無や程度が争われる可能性がある。
捜査関係者によると、平原容疑者は2人がレジ待ちの列に並んで間もなく入店し、ほかの客の横を通り過ぎて列の最後尾に並んでいた2人を刺したとみられる。一方、精神疾患があり、事件前は拡声機で奇声を上げるなど奇行が目立っていた。福岡県警は、生徒側と目が合ったと感じたことから事件を起こした可能性があるとみているが、逮捕後もつじつまの合わない供述を繰り返し、ある捜査幹部は「本当の動機はわからないままだ」と漏らす。
刑事責任能力は、善悪を判断し、行動を自制できる能力で、裁判所が、責任能力が失われた「心神喪失」と判断すれば無罪、著しく減退した「心神耗弱」とすれば刑が軽減される。
福岡地検小倉支部の石島正貴支部長は26日、報道陣に対し、「責任能力などについて立証できると考えて起訴した」と述べたが、鑑定留置の結果などについてのコメントは控えた。元東京高裁部総括判事の藤井敏明・日大教授は「焦点となる責任能力については、精神疾患の有無・程度、事件や動機の形成に及ぼした影響が立証の重要なポイントになる」と指摘している。