息子を装ってうその電話をかけてくる「オレオレ詐欺」の被害が、10月から県内で急増している。被害に遭いかけた岡山市北区の女性(86)が県警本部で取材に応じ、「息子の助けになりたいという気持ちでいっぱいだった」と当時の心境を明かした。
事件は10月29日、女性の自宅の固定電話にかかってきた一本の電話から始まった。
「株式の配当金が出るけど、お嫁さんには内緒だからお母さんの口座に入れさせてほしい」。男がこんなことを言い出した。
見知らぬ電話番号。声も普段とは違う。少し不審に思ったが、「インフルエンザになって声がかれた」という説明と、何より男が息子の名前を名乗ったことで信用してしまったと、女性は振り返る。
男らは翌日も電話をかけてきた。「税金を払っていないから、配当金を税務署が差し押さえている。配当金をもらうためには、裁判にかけないといけない」。証券会社の職員を名乗る男からも電話があり、女性は「なんとか助けてあげなきゃ」と思ったという。
女性はたまたま、「裁判になった時、親はどう関わったらいいか、自分が取るべき行動を教えてほしい」と110番したことで被害に遭わずに済んだ。県警による「だまされた振り作戦」で、金を受け取りに来た男も逮捕された。
県警によると、県内の1~10月の特殊詐欺の認知件数は246件。そのうち「息子がたり」のオレオレ詐欺は32件で被害額は約8340万円だが、10月だけで22件の発生があり、被害の拡大が懸念される。
県警生活安全企画課の伊藤岳大次長は「事前に家族と合言葉を決めたり、防犯機能付き電話を活用したりするなど、日頃から自分事として対策をしてほしい」と注意を呼びかけている。