市原隼人“トニー”退場に悲鳴殺到…ラストで菅田将暉”久部”の「虚ろな目」の理由とは? 『もしがく』第9話考察&感想【ネタバレ】

菅田将暉主演のドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)が放送中だ。本作は、脚本家・三谷幸喜が半自伝的な要素を元に、1984年の渋谷が舞台の架空の街「八分坂」で起こる青春群像劇を描く。さっそく、第9話のレビューをお届け。(文・田中稲)・【写真】…貴重な未公開写真はこちら。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』第9話劇中カット一覧
「トニーッ!!」

  いきなりの絶叫で申し訳ない。まだ興奮と寂しさが抑えきれない(泣)。11月26日、30分拡大で放送された『もしがく』第9話を見ながら、何度トニーの名を叫んだことか!

 今回起こったWS劇場のすったもんだの感想は後ほど書くとして、とにもかくにも、まずはトニーによる「冬物語」フロリゼル役熱演シーンをご一緒に振り返りたい。

 出番に大幅に遅れ、タクシーでWS劇場に到着したトニー安藤(市原隼人)。演出家の久部(菅田将暉)が誘導し、衣装に着替えずそのまま客席から登場することになる。

 劇場の扉を蹴飛ばすトニーのまっすぐに伸びた脚が映る! 絶妙なタイミングで♪ダーンダンダンダララッッダーという力強いBGMが鳴る! トニー、ネクタイを荒々しく取りながら客席に入ってくる! ネクタイを投げる! 舞台に立っているリカ(二階堂ふみ)に向かい、何度も練習していたあのセリフ「花の女神、フローラだ」を、感情をたっぷり込めて言う!
 
 想像以上だった。エモいという表現が稚拙に思えるほど輝いていたよトニー…。演じる市原隼人の、全身から溢れるストイック不器用オーラと透明感と演技力があってこそだ。ありがとう、ありがとう!
トニーがここまでの演技を披露できるのは当然と言えば当然なのだ。彼は、開幕の2時間前からウォーミングアップ。軽く走ってからストレッチやって、発声やって、台本を頭からおさらいするというルーティンをこなしていた。

 喫茶・テンペストで、トニーの恋人・パメラ姐さん(アンミカ)が、嬉しそうに久部(菅田将暉)にトニーの芝居への情熱について話すシーンもまた微笑ましい。しかもトニーは、照れて頭に手をやりこう言うのだ。

「俺みたいな素人は、そのくらいやらないと…。お客さんに失礼になるんで」

 尊い! おまけに彼は、是尾先生によるセリフ朗読のお手本テープを入れたカセットデッキをボストンバックに入れて持ち歩いていた。それも、わざわざ自分から見せるのではない。パメラさんが愛おしそうに

「あれ、見せてあげたら? あれ」

 と「あれ」を二回言い、やっと見せるのである。なんと愛おしい二人なのだろう。

 アンミカの包容力は素晴らしい。バラエティー番組での彼女がチラ見えしたらどうしよう、という、番組放送前に抱いていた心配は完全に杞憂に終わった。『もしがく』全体を包み込むやさしささえ感じる。

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