なんともケチくさい中年男だ。デート代を回収するため交際相手のA子さん(40代)を長時間連れ回したなどとして警視庁竹の塚署が9月5日、営利目的略取の疑いで現行犯逮捕したのは東京都足立区西伊興に住む職業不詳・杉本俊広容疑者(49)。容疑者宅の近隣住民によると、「金髪小太りで、平日の日中も自宅周辺をプラプラしている得体の知れないおじさんです」という。【写真】足立区“猫質”事件、金髪ケチ男が住んでいた「愛の巣」
杉本容疑者の“デート代回収手法”は相手の弱みにつけこむものだった。
全国紙社会部記者の話。
「9月4日、車を運転して茨城県在住のA子さん宅に押しかけました。“使ったデート費用を返せ”などとする返金交渉がうまくいかなかったのか、A子さんの飼い猫を人質ならぬ“猫質”にして、キャットタワーと一緒に乗ってきた車に積み込んだといいます。猫を返してほしいA子さんが車に乗らざるを得ない状況をつくった上で、同日午後8時ごろから翌日の午後2時ごろまで約18時間連れ回しました。その後、足立区の自宅に到着したところで、張り込んでいた警察官が身柄を確保。A子さんは親族に“助けて”などとメッセージを送信しており、親族が警察に相談していたため先回りできたんです」
幸い、A子さんにケガはなかった。
杉本容疑者は警察の取り調べに対し、
「金銭関係で口論はあったが、無理やり連れ去ったりはしていない」
と容疑を否認しているという。
近所に住む80代男性らによると、杉本容疑者は約1年前、新築の一戸建て住宅にひとりで引っ越してきた。
「持ち主は別にいるため賃貸物件のはずです。しばらくすると、同年輩の女性と同棲を始めました。杉本さんがどういう仕事をしているか、さっぱりわかりません。平日の日中も自宅にいましたし、たまにラフな服装で出てきて車で買い出しに行くといった生活パターンでしたね」(80代男性住民)
仕事はともかく、同棲生活は当初のうちはうまくいっているように見えたという。
近所の女性の話。
「最初は夫婦と勘違いしたほどです。女性はベランダに洗濯物を干したり、かいがいしく家事をこなしていました。ふくよかで、昔はギャルだったのかなと思わせる雰囲気もあり、なんとなく似た者同士のカップルでした」
ふたりは犬を飼っていた。病気のせいか活発に動けず、弱々しく歩くコリーだった。
「犬に赤い服を着せてふたりそろって散歩させるなど、とっても仲のよいカップルだったんです。一緒に洗車したり、彼女を助手席に乗せて買い物に出かけたりしていましたね。あの騒動が起こるまでは……」(別の女性住民)
複数の近隣住民によると、事件のおよそ1か月前、容疑者宅に2日連続で救急車が呼ばれる騒動があったという。
「1回目は夜中で、2回目は日中でした。杉本容疑者が外に出てきて“こっちです、こっちです”と救急車を誘導していました。彼女の具合が悪くなったのかなと思ったんですが、救急隊員はストレッチャーを準備しているのに家から誰も出てこないし、ストレッチャーを家に迎え入れる様子もないんです。杉本容疑者は室内にいる誰かに向かって“早くして”などと急かしていました。結局、誰も搬送されることはなく、救急隊員はストレッチャーを畳んで帰っていきました」(近所の住民)
泥酔した人がタクシー代わりに救急車を呼ぶなどモラルなき救急通報が社会問題化しているさなか、2日連続で救急車が無駄に呼ばれたことに眉をひそめる住民もいた。しかも2回目はパトカーや消防車まで駆けつけたという。