安倍元総理大臣が銃撃された事件で、殺人などの罪に問われている山上徹也被告(45)が、28日から始まった裁判員裁判の初公判で、殺人罪について認めました。「彼の中ではテロとまでは思っていなかったのでは」「追い込まれた中で、偶然が重なってしまった悲劇なのでは」鈴木エイト氏が初公判を傍聴した印象は?山上被告は2022年7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅の前で、安倍晋三元総理大臣を手製の銃で殺害したとして、殺人や銃刀法違反などの罪に問われています。
午後2時すぎに始まった初公判で、検察が起訴状を読み上げた後、山上被告は裁判長から起訴内容について問われると、「すべて事実です。私がしたことに間違いありません」と認めました。
弁護側は殺人罪などについて争わないとする一方、山上被告が事件に使った銃については銃刀法違反の「砲」に当たらず最高刑が無期懲役の「発射罪」は成立しないなどと主張しました。
元検事で弁護士の亀井正貴さん、そして長年、旧統一教会の被害者弁護を務めている弁護士の阿部克臣さんに、今回の裁判の争点についてお話を伺います。
山上被告が問われる罪について。殺人罪、許可なく火薬を製造し所持した罪、旧統一教会の関連施設が入るビルへの建築物損壊などの罪。これらについては、検察側、弁護側ともに争いはありません。
今回の裁判の争点となるのは、銃刀法の発射罪に問えるかどうか、旧統一教会が事件に与えた影響という大きく2つのポイントです。
まず1つ目、銃刀法違反の発射罪について。発射罪とは、公共の場などでの銃の発射を罰するというものです。山上被告が事件のときに使用した手製の銃は、全長40センチと全高20センチの銃です。筒のパイプのようなものが2つまとめて固定されていました。この銃は、1度に6個の弾薬を発射する仕組みとなっていました。
ただ、これが「手製銃」というところが、この裁判を難しくしているとも言えるんです。手製銃の位置づけについて見ていきましょう。検察と弁護側の主張がここで食い違います。検察としては「砲である」という主張です。砲というのは、「拳銃等」の中に含まれており、銃刀法の発射罪に問うことができ、無期または3年以上の懲役が科せられるというものです。
一方の弁護側の主張というのは「山上被告の手製銃は砲には当たらない」というものです。砲どころか拳銃等にも含まれない。つまり、(当時の銃刀法の)発射罪は成立しないということです。ここで主張が真っ向から食い違っています。
では、あまり聞き馴染みがない「砲」とはどういうものでしょうか?
検察が主張している砲というのは、形状や構造によって分類は変わるが、人の殺傷に適するよう作られた銃であり、口径が20ミリ以上のものです。今回、安倍元総理を撃った銃の口径は約21ミリということで、この要件を満たしているということです。
ただ砲かどうかというところも、元鹿児島県警本部長の大塚弁護士によると、これまでに手製銃の裁判例が少なく、判断が極めて難しいということです。