偽造した試験の合格証を入管に提出し、在留資格を「技能実習」から「特定技能」に変更したとして、大阪府警は23日、群馬県伊勢崎市の会社員の容疑者(34)らベトナム国籍の男女2人を入管難民法違反(虚偽申請)容疑で逮捕したと発表した。府警は、より多くの収入や在留期間の延長が目的とみて合格証偽造の経緯を調べる。
他に逮捕されたのは、同県館林市の会社員の容疑者(36)。
発表では、伊勢崎市の容疑者は昨年3月、独立行政法人・国際交流基金の「日本語基礎テスト」と食品の製造や加工などをする「飲食料品製造業」の技能試験に合格したと偽った証明書を東京出入国在留管理局に提出。館林市の容疑者は昨年8月、飲食料品製造業の技能試験の偽合格証を東京入管に提出し、それぞれ特定技能に在留資格を変更する許可を不正に得た疑い。府警は認否を明らかにしていない。
府警によると、2人は技能実習生だった。資格変更後は、追加で最長5年間、滞在が可能となり職場を変えて食品加工会社で働いていた。合格証を偽造した人物は判明していないという。
特定技能の取得には原則、日常会話程度の日本語試験と分野別の技能試験の両方に合格する必要がある。入管は試験の合格証や勤務予定の企業との雇用契約書などの提出を受け、資格を許可するか判断している。
東京入管は23日、読売新聞の取材に対し、合格証が虚偽だと見抜けなかったことについて「捜査中のため詳細は差し控える」とした上で、「出入国行政の根幹に関わることで看過できない。引き続き厳格な対応に努める」とコメントした。
府警は昨年12月以降、日本語基礎テストの会場で依頼者になりすまして受験し、合格証を不正に入手したなどとして、ベトナム国籍の替え玉役や依頼者など9人を同法違反容疑などで逮捕。9人の供述などから、偽合格証を使った在留資格取得の手口が発覚し、2人の関与が浮上したという。
外国人労働者の問題に詳しい斉藤善久・神戸大准教授によると、SNSでは、日本語試験の合格証の偽造をベトナム語で依頼する投稿が複数確認されているという。
元入管職員の行政書士・木下洋一さんは「在留外国人の急増で審査件数も増え、入管当局が偽造を見抜くのは難しくなっている。不正が発覚した以上、試験の実施団体に確認するなどして、他にも同様の不正がないか調査する必要がある」と話す。