「検事の作文」逮捕164日間の勾留を経たえん罪被害者・村木厚子さんが語る“人質司法”と絶望に抗う「おどろきの刑事司法」の実態

なぜ無実の人が罪を着せられるのか。えん罪事件の被害者となった、厚生労働省の文書偽造事件で逮捕され無罪となった元事務次官の村木厚子さん(70)が「当事者」として11日、札幌で講演しました。【画像を見る】冤罪事件の当事者として再審法改正と刑事司法の課題について講演する村木厚子さん(70)突然逮捕され、164日間勾留された村木さん。「検事の作文」や証拠隠蔽など、密室で起きていた衝撃の体験から見えた日本の刑事司法の闇と、制度改革への切実な訴えを明かします。

■「話せばわかる」の無邪気さ。夕方には逮捕されていた

郵便不正事件で私が逮捕されたのは、今からおよそ17、8年前のことです。

ある偽の障害者団体が、正規の料金よりはるかに安い郵便割引制度を不正利用して、企業のダイレクトメールを送り差額で儲けていた、そんな事件でした。

割引に必要な証明書に厚生労働省の判子が使われていたことから、厚労省が捜査対象となりました。

実態はといえば、担当の係長が忙しさのあまり決裁を省いて証明書を作ってしまったというものでした。

ところが検察は、国会議員が口利きをし、私の上司から私に命令が下り、私が係長に指示したというストーリーを描いていました。

係長が逮捕されて20日後、私は「やっと話を聞いてもらえる」と無邪気に思いながら大阪地検特捜部へ出向きました。

議員からの依頼も、上司からの命令も、部下への指示も、すべて「ありません」「していません」と答えた。

その日の夕方、私は逮捕されました。

■「僕の仕事は供述を変えさせること」密室で作られる“検事の作文”

こから164日間、私は拘置所を出ることができませんでした。

当時の日本人宇宙飛行士の最長宇宙滞在記録が163日でしたから、「勝った」と内心自慢していたくらいです。笑えない話ですが。

取り調べで最初に驚いたのは、調書というものが自分の想像とまったく異なるものだったことです。

一生懸命説明した内容が記録されるのではなく、事件への関与を示せる部分だけが調書になっていく。

担当の検事は「僕の仕事はあなたの供述を変えさせることです」とはっきり言いました。真相解明ではないのです。

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