「『本当の新疆』を伝えて」中国のウイグル自治区で官製メディアツアー 人権侵害の疑惑打ち消しに躍起、人々は「幸せで自由に」暮らしているのか

中国政府の広報活動を担当する国務院新聞弁公室は6月30日~7月9日の日程で、共同通信を含む外国メディアを新疆ウイグル自治区に招き、ウルムチ、カシュガルなどの都市を見て回った。参加したのは23カ国の記者。中東やアフリカなど新興国のメディアが多数を占めた。ほぼ全員が初めての訪中だ。【写真】「ウイグル全体が巨大な収容所」当局の動画削除を執念で上回って拡散したら…あまりに悲惨な現実 22年
訪問先はすべて中国側が指定した場所だった。中国側は外国記者団に対し、いかに新疆が発展し、民族が団結して平和に暮らしているかを熱心に宣伝した。国際社会で批判される、ウイグル族への抑圧や人権侵害の疑惑を打ち消すのに躍起になっているのがうかがえた。(共同通信=北藤稔道)

▽「文化は守られている」

 ウイグル族ら数千人が暮らす、カシュガル市郊外の住宅街を訪問した。住民が飲食や医療、余暇活動に使える「社区サービスセンター」と呼ばれる施設では、案内役のウイグル族女性が「ここではお年寄りが集まり、食事をとったり、趣味のダンスをしたりしています。みなさんがここでの生活を楽しんでいます」と紹介した。

 続いて訪れた漢方病院では、ウイグル族の人たちが治療を受けようと列をなしていた。ウイグル族は、中国の全人口約14億人のうち1千万人ほどで、新疆ウイグル自治区を中心に居住するイスラム教徒でトルコ系の少数民族だ。大多数を占める漢民族とは言語も文化も大きく異なる。担当者からは「漢方は漢族の文化だが、口コミが広がり、ウイグル族にも人気になった」と説明された。
この他、中国で最大規模のイスラム教礼拝施設「エイティガールモスク」や民族楽器の展示施設、ウイグル族の伝統舞踊「ムカーム」の劇場なども参観。モスクでは、解説担当者は「慣習どおりに礼拝ができる」と述べ、少数民族の文化が守られていると強調した。

▽抗議デモは「テロ」

 ウルムチを訪問した7月5日は、ウイグル族と漢族の対立を背景に2009年、197人が死亡した「ウルムチ暴動」が発生した日だ。この日、記者団はホテルの会議室で、暴動の背景や経過を取り上げたドキュメンタリー動画を視聴した。発端は広東省の工場でウイグル族が漢族に襲われ死亡した事件への抗議デモだったが、国外の新疆独立を図る勢力が新疆のイスラム過激派を扇動して起こした「テロ」だと説明された。

 動画を見終えた後は、中国のテロ対策について解説する「新疆でのテロ・過激思想との闘い」と題された展示施設を訪問した。担当者は冒頭で、新疆は紀元前2世紀、前漢の武帝の時代から中国領であり、今さら分離独立はあり得ないと主張した。かつて頻発した一連の「テロ事件」について詳しく解説し、事件の容疑者らが「イスラム国」(IS)など中東のイスラム過激派の影響を受けていたと説明した。遺体や襲撃の様子を写したショッキングな写真、動画、使われた銃や刃物などの展示も多くあり、「テロリスト」と認定された人らのあくどさが強調されていた。

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