「いかがわしい」とみなされていた技術がいかに巨大市場へと化け、異端視されていた若者たちがいかに世界を変えていったのか。
インターネット産業における「熱狂」と「混沌」と「革命」の30年を、その最前線で目撃し続けた、川邊健太郎・前LINEヤフー代表取締役会長。川邊氏だから語れる舞台裏を書き尽くした書籍『7つの激変――いかがわしい者たちが主役の「インターネット産業」30年史』が刊行された。
ジャーナリストして、このインターネット産業の30年を追い続けてきた佐々木俊尚氏に、本書について話を聞いた。その後編をお届けする。(前編はこちら)
■ネット産業を生んだ「いかがわしさ」
インターネットの最前線で闘い、LINEヤフーの会長を務められた川邊健太郎さんが、30年のウェブ史を総括した著書『7つの激変』を上梓されました。本書は、ネット産業が辿ってきた紆余曲折が非常にリアルに描かれており、教訓に満ちています。
とりわけ印象的なのが「いかがわしさ」や「混沌(カオス)」というキーワードです。川邊さんは、きれいに整備されたルールや優等生的なアプローチからは本質的なイノベーションは生まれず、むしろ最初は「いかがわしい」と冷遇されたものの中にこそ、次の時代を開拓する真のエネルギーがあると喝破しています。
本書にも触れられていますが、90年代に登場した頃のインターネットは、一部の研究者やオタクたちが使う「いかがわしい」技術だと思われていて、一過性のブームだとも言われていました。
たしかに、90年代終わりにはネットバブルが起きて、インチキな会社が本当にたくさんありました。中には社長が逮捕されるという事件もありましたね。
ただ、そういう詐欺師が大量に跋扈するような中を生き残って、真っ当なビジネスが生まれてきたというのも事実です。楽天やヤフー、ライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂ、サイバーエージェントなどがその例でしょう。