ニセ警察詐欺で3300万円被害「パパが命を削って稼いでくれたのに」…偽の逮捕状に焦り「潔白を証明しないと」

警察官を装い、捜査名目で資産をだまし取る「ニセ警察詐欺」被害が止まらない。2024年半ばから急増し、25年の認知件数は全国で1万件を超え、被害額は約1005億円に上る。偽の「逮捕状」が自宅に届き、現金700万円と、2600万円分の金地金(金塊)を詐取された北九州市の女性(75)が読売新聞の取材に応じ、「後悔は尽きず、腹立たしい」とやり場のない怒りを口にした。(谷口善祐)【グラフ】特殊詐欺の被害額と認知件数
3月4日午前10時頃、女性宅の電話が鳴った。「東京の警察の者です」。電話口の男はこう名乗った。指定暴力団の名を挙げ、「タカハシを捕まえた。あなたに金を振り込んだと話している。出頭してほしい」と説明した。遠方のため女性が断ると、男は「電話で取り調べを行う」と続けた。焦った女性は問われるがままに個人情報を答えた。
翌朝、女性の氏名や生年月日、罪名などが記された偽の逮捕状がレターパックで届いた。「早く身の潔白を証明しないと」と冷静さを失った。
その後、男からは電話で「金の流れを調べる」と、全ての口座の残高を尋ねられた。次々と出される指示に従い、10日間で計700万円を引き出した。定期預金を解約し、2600万円分の金塊を購入した。「あなたの身の潔白のために頑張っています」。寄り添うような男の言葉を信じて疑わなかった。
最初の電話から2週間ほどたった頃、「捜査のために引き出した現金と金を渡してほしい」と男に言われた。自宅マンションの出入り口に現金と金塊を入れた紙袋を置いて少し離れた。
「特別警察が行きます。姿を見られてはいけないので、見ないでください」。足音が建物の前で止まり、何者かが立ち去る気配がした。続いて男から受け取ったことを告げられ、ほっとした。
5日後、ラジオ番組でニセ警察詐欺のことを知り、警察に相談した。特殊詐欺事件として捜査が続く。
失った金は、8年前に他界した夫と旅行や食事を楽しんだり、子どもたちに会いに行ったりする費用として、ともに蓄えたものだった。「パパが命を削って稼いでくれたのに、ごめんね」。毎朝、仏壇に手を合わせている。

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