分譲マンションなどの大規模修繕を話し合う住民の会合に、住民になりすました人物が入り込む事案が相次いで確認されている。工事関係者が自社側に工事発注を誘導する目的で参加しているとみられる。マンション内でのつながりが希薄な所では、なりすましが発覚しにくく、国も管理組合の役員選任時などに本人確認を徹底するよう注意を呼びかけている。(日下翔己、竹田章紘)
先月19日夜、横浜市の大規模マンション敷地内の集会室に住民ら約10人が集まった。大規模修繕の方向性を話し合い始めてから約30分が過ぎた頃、マンション管理組合の男性理事長が突然、大阪の工事会社の社名を挙げてこう切り出した。
「この工事会社が各地のマンションの大規模修繕に関わっているという情報があります。あなたはそこの社員ですか」
質問を受けた参加者の男性は「僕は違いますけどね。個人でやってます」と返答。理事長が「関係ないのか」と追及すると、「と思いますけどね。実際、昔いたのは事実です」と歯切れの悪い答えに。更に同じ質問を向けられた別の男性も「いや、私も違います。今は不動産屋やってます」と関係を否定した。
理事長らは数か月間、この男性2人がマンションの住民か調べた結果、居住実態はないと判断。別のマンションの会合にも入り込んでいたという情報を事前につかんだ理事長が「色々なマンションに入り込んでいるのは知っている。うちのマンションから縁を切ってほしい。出てってください」と強く促すと、2人は無言のまま立ち去った。
管理組合などの住民会合に工事関係者が入り込む事案が発覚したことで、トラブルにも発展した。
神奈川県内の別のマンションで昨年5月、同じ大阪の工事会社の別の社員2人が住民になりすまして大規模修繕委員会に参加。不審に思った住民らが身元を問いただしたところ、なりすましを認めなかったため、警察に通報した。2人は逃走するなどした後、県警に住居侵入容疑で逮捕され、後日、処分保留で釈放された。