取り調べ内容記録する被疑者ノート、夜間「回収」に弁護士会側が批判「記入萎縮させる」…警察「自殺防止」

逮捕・勾留中の容疑者らが取り調べ内容などを記録する「被疑者ノート」に関する警察の取り扱いを巡り、弁護士会側から批判が出ている。警察が事故を防ぐためだとして、夜間にノートを実質的に「回収」する運用をしているためだ。弁護士会側は閲覧の懸念から記入を萎縮(いしゅく)させるとして、運用方法を改めるように求めている。【写真】熊本県警察本部
「寝る前に被疑者ノートを回収される。本当に書き込んで大丈夫ですか」
昨年11月、熊本県警熊本北合志署(熊本市)の接見室。薬物事件で逮捕され、同署で勾留されていた男性(後に不起訴処分)は、弁護人の古閑哲哉弁護士に不安を訴えた。夜間になると、私物として回収、保管されるという。
古閑弁護士はすぐに県警に抗議し、同月5日に熊本簡裁に勾留場所の変更を申し立てた。同簡裁は翌6日、法務省管轄の熊本刑務所への変更を決定した。古閑弁護士は「ノートが回収されるとは知らなかった。中身を見ていなくても『見られているかもしれない』と書き込みを萎縮させる」と強調する。
佐賀県警では今年1月、鳥栖署に勾留中の容疑者が「(居室外で見える位置の)かごに被疑者ノートを入れさせてほしい」などと要望したものの、受け入れられなかった。
こうした状況を受け、熊本、佐賀の県弁護士会は、弁護人との自由な接見を保障する「接見交通権」や「秘密交通権」を侵害する恐れがあるとし、運用を改めるよう求める会長声明をそれぞれ出した。
読売新聞が九州・山口・沖縄の各県警に被疑者ノートの取り扱い状況を尋ねたところ、9県警の全てが、容疑者が就寝する夜間帯はノートを居室外のロッカーなどに保管すると回答した。
被疑者ノートを巡っては、警察側によるノートの一時持ち去りの違法性が争われた訴訟の判決で、札幌地裁は2024年12月、留置担当者がノートの修繕を理由に所在を知らせないまま15分程度持ち去った事案について、接見交通権の侵害を認める判断を示した。判決は容疑者が「(警察官らが)内容を閲覧していることを危惧するのが通常」だとし、「不利益は看過できない」と指摘。慰謝料の支払いを命じ、判決は確定した。

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