市庁舎建設を巡る汚職事件で揺れる熊本県八代市。現職・元職の市議、市の外郭団体職員らがあっせん収賄やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで逮捕、起訴されるという前代未聞の不祥事だ。8日開会の市議会定例会を前に、小野泰輔市長にこれまでの議員と行政の関係、公益通報に対しての改善策などを聞いた。(河内正一郎)
-市庁舎建設工事を巡り、あっせん収賄容疑で成松由紀夫市議(54)が逮捕、起訴されました。
「議員が事業の発注方式や業者選定基準にまで介入し、市側も不当な要求、法令違反の可能性がある内容を毅然[きぜん]と断れなかった。事実であれば、あってはならないことだ」
-市は議員らの要望を文書化するルールがありながら、実行されていなかったことが背景にあるのでは。
「大きな問題だ。やりとりを文書に残せば不当要求からの抑止力となり、職員自身を守ることになる。今後はできる限り文書に残すよう徹底したい。市議会にも伝えた。形骸化しないよう随時チェックしていく」
-落札業者や成松被告の求めに応じて、業者の利益を水増しした事実はありますか。
「確認できていない。市の調査によって(外構工事などの)随意契約で利益を増やしたと証明するのは難しい。裁判で(業者らが)市に損害を与えたと確定すれば、賠償請求することはありうる。庁舎建設には熊本地震の災害復旧事業債や合併特例債を活用しており、国から返還を求められる可能性もある」
-市として外部専門家を交えて一連の問題を検証する方針を示しました。
「市には強制捜査権がなく、事実の正確な再現には限界があった。成松氏が起訴されたことは大きい。弁護士や入札の専門家を交え、裁判で事実認定されたことを順次、検証する。誰がどんな経緯で(不正な行為を)指示したか調べる」
-職員の一人が2020年に不正を内部告発していたのに、市は公益通報として受け付けませんでした。
「人事課は当時、職員の健康上の相談として対応していたようだ。公益通報だと明確に申し出があっていれば、そのように扱われたかもしれない。今後は職員の公益通報への認識を高めていきたい。庁内の窓口ではもみ消されないか不安が生じる恐れがあるので、独立した弁護士が受け付ける通報窓口を設け、今月にも試行を始める。10月に問題点を取りまとめる予定だ」
-市民や市職員に動揺や不安が広がっています。
「市役所に対する信頼が揺らいでいる。反省すべきは反省し、議員との接し方や不正に直面した際の対応を一から見直す」